「高濃度乳房」の通知義務化へ、米FDA

米食品医薬品局(FDA)は3月27日、乳がんスクリーニングに関する新ルール案を公表した。変更案では、高濃度乳房(デンスブレスト)の女性には、乳がんの罹患リスクが高い可能性を本人に伝えることが義務付けられる。また、マンモグラフィ施設の規制を強化し、FDAは、施設が基準を満たしていなければ、別の認定施設で再検査を受けられることを患者に通知する権限を持つようになるという。

今回のルール変更の目的について、FDA長官のScott Gottlieb氏は「乳がんスクリーニングを時代に即したものに発展させ、乳房の健康管理について重要な決定を検討している患者に、より多くの情報を提供することを目指している」と述べている。

FDA主席副長官のAmy Abernethy氏によると、乳腺組織の割合が高い高濃度乳房は乳がんのリスク因子であるだけでなく、マンモグラフィで撮影した画像が白くなるため乳がん病変が見つかりにくくなるとされる。「高濃度乳房の女性は、それが乳がんリスクや個人の健康状態に及ぼす影響について医師と話し合う必要がある。米国では40歳以上の女性の半数以上が高濃度乳房であることを考慮すると、乳がんリスクと関連する乳腺濃度などのリスク因子について、患者に正しい情報を提供できるよう支援することが重要だ」と同氏は説明している。

しかし、専門家の一人で米マウントサイナイ・ヘルスシステム乳房イメージング部門長のLaurie Margolies氏は、米国女性の多くは既に自分の乳腺濃度について知らされていると指摘する。37州およびコロンビア特別地区では、乳腺濃度について患者に通知することが義務付けられており、今回の変更案はそれに追随するものだと話す。

Margolies氏は「マンモグラフィは女性の救命に有用なことが証明されている」とし、「FDAの規制下では、保険会社には追加検査への支払いが義務付けられる予定だが、追加検査を希望する女性に対しても保険適用されることが望ましい」と付け加えている。

一方、この変更案を歓迎している専門家もいる。その一人で米ノースウェル・ヘルスがん研究所乳腺外科のAlice Police氏は「マンモグラフィは国によって規制されるべきだ。今回のような新しいガイドラインや基準を求める動きを歓迎するし、遅すぎるくらいだ」と述べている。なお、FDAがマンモグラフィ施設に関する重要なルール変更を提案するのは20年以上ぶりとなるという。

また、今回の変更案では、マンモグラフィの画像評価に、新たに3つの区分が追加される。その一つは「生検で確定診断された既知の悪性腫瘍」と呼ばれるもので、治療を目的としたマンモグラフィで評価されるがんが、既に確定診断されたものであることを医療従事者に知らせることができる。

さらに、マンモグラフィ施設の品質基準を改定し、施設が基準を満たさない場合には、別の認定施設で再検査する必要があることを、FDAは患者や医療従事者に直接通知する権限を持つことになる。なお、この変更案はオンラインで閲覧でき(https://www.regulations.gov/)、発表から90日間はパブリックコメントを募集している。(HealthDay News 2019年3月27日)Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.

 

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