商品開発のプロセスと、女性向けヘルスケア商品の開発ポイント

企業活動において商品開発は重要業務。特に市場ニーズが急速に移り変わっている近年は、ニーズに合う商品をいかに開発できるかが企業の成長を左右する。では商品開発は具体的にどのようにして行われているのか。前半では商品開発のフローを、後半では女性向けのヘルスケア商品を開発する際のポイントについて解説。

商品開発の基礎知識

商品開発の主な仕事内容

商品開発とは商品を開発する業務のことで、製品開発とも言われる。商品開発は、一言でいえば商品のアイデアやイメージを具体的に形にしていくこと。市場分析で見えてきた世の中のニーズをもとに創出したアイデアを、試行錯誤を繰り返しながら実用化までもっていく段階を指す。

商品開発と商品企画の違い

広義では同じと捉えることもできるが、商品開発と似ている言葉に商品企画がある。商品企画は新商品をイメージしアイデアを生み出すのが仕事。市場や顧客の調査を行い、ニーズを分析・把握し、イメージを明確化するまでの段階が商品企画である。一方で、商品開発はその企画を元に実用化していくプロセスとなる。つまり商品開発とは果たすべき役割が異なり、以下のように商品企画の次に商品開発に至る。

  1. 【商品企画】調査、ニーズの分析・把握、アイデア創出、イメージの明確化
  2. 【商品開発】商品企画を元に実用化する

商品開発の具体的なプロセス

STEP1:情報を収集し、アイデアを出す(商品企画)

商品開発の最初のステップは、開発すべき商品や製品のアイデアを出すこと(商品企画)。顧客のニーズや競合他社の商品をリサーチし、集めたデータを元にいかに優れたアイデアを出せるかが、商品開発の成功に大きく関わってくる。社内でアイデアを出す場合は、ブレインストーミングを行い、実現性の高いアイデアや顧客のニーズにマッチしたアイデアに絞ることが大切な作業となる。

STEP2:商品のコンセプトを決め、マーケティング戦略を考える

商品開発のアイデアが出たら、商品の使用場面などを具体的に想定しコンセプトを明確化する段階になる。ここでは、コンセプトをもとにマーケティング戦略を考え、どうやって販売していくかを考える。目標数値、商品の価格設定、流通経路、競合他社との差別化の図り方など、商品を実際にユーザーに売っていくための具体的な施策を考える。

STEP3:試作品を作り、テスト販売を行う

次に、アイデアをもとに試作品を制作する段階に入る。コンセプトが反映されているか、安全かどうか、予算内で生産ができるかなどが重要なチェックポイント。マーケティング戦略が有効かどうかをチェックするため、テスト販売も実施する。テスト販売をすることで、実際に販売する前に、必要在庫数などの目安が立てられるからである。試験的にユーザーに利用してもらったり、地域を限定して販売したりして、ユーザーの反応をみる。さまざまなことを試みながら、その結果をもとに商品を改善したりマーケティング戦略を立て直すなどを行う。

STEP4:実際に商品化する

テスト販売を経て「売れる」と判断した場合は、いよいよ商品化の段階へ。商品を売り出すタイミングやエリア、商品のターゲット層などを決定し、商品を生産し販売ルートにのせていく。

女性向けヘルスケア商品の開発ポイントと事例

女性向けヘルスケア商品の開発のポイント

女性向けヘルスケア商品の開発には以下5つのポイントを抑えておきたい。

女性向けヘルスケア商品開発

1.ターゲット女性の策定

(1)中間層か富裕層か?
所得の二極化が進む昨今、商品開発前の段階でどちらをメインターゲットにするかを策定しておきたい。品質や価格、想定流通経路などに大きな違いが出てくるからだ。働く女性、資産運用に積極的に取り組む女性、ユーチューバーやブロガーに代表されるネットで収入を得る女性たちの登場で、収入を積極的に増やす女性が増えており、各調査では実際に富裕層の割合が年々増加傾向にあることが分かっている。従来は中間層をターゲトにした商品開発に取り組む企業が多かったが、二極化の流れを受け、富裕層をメインにした商品開発を行う企業が徐々に増えている。

(2)ライフコース
女性マーケティングにおけるターゲット策定では、ライフコース視点で考えるのが必須。例えば、同じ30代女性でもライフコースが「ママ」か「シングル」かによって消費傾向や価値観が異なるからだ。ライフコースの考え方は以下の記事をチェック。

2.行動変容ステージモデル

行動には心の状態や実践の程度に応じて5段階のステージがあり、人はこのステージを前進したり後退したりする。ステージごとに心境や実践の程度が異なるので、指導やアドバイスをする前に対象者がどのステージにいるか?を見極める必要がある。この考えをヘルスケア領域における商品開発に活かすことで、より的確にターゲットにアプローチできる。

スポーツジムにおけるフィットネスプログラム開発を例に考えてみよう。以下の図のうち「無関心期」の女性に対するプログラムと、「実行期」の女性に対するプログラムでは、プログラム内容を変えるべきである。

行動変容ステージモデル

  • 無関心期の女性への有効なプログラム
    エンターテイメント性が高く、フィットネス要素が低いプログラム開発が良い。理想的なのは例えばポケモンGO。「ポケモンGOで遊んでいるうちに、気づいたら毎日たくさん歩くようになった」というのは、無関心期女性へのアプローチとして最適。
  • 実行期の女性への有効なプログラム
    上記のような「結果よりもエンタメ要素が強い」プログラムはNG。理由は、実行期にある女性の場合、「結果」を求めているからだ。結果につながる本格的なフィットネスプログラムが好まれる。

商品開発を進める前に「どの行動変容ステージモデルにいる女性をターゲットにするか?」を決めておきたい。より「売れやすい商品」を開発することが可能になる。

3.年代ごとの女性疾患や不調を考慮

ヘルスケア関連商品の開発では、その商品の根幹となる主力機能だけでなく、ターゲット女性の年代特有の疾患や不調もセットで考慮したい。

例えば40~50代女性向けのダイエットアプリを開発する場合。単純に10~30代女性向けのダイエットアプリのようなダイエットサポート機能を詰め込むだけでなく、更年期症状の時期や閉経を迎える時期であることを考慮したダイエットサポート機能を入れたい。

エステサロンの場合。エステサロンが50~60代の女性向けに痩身のためのボディケアメニューを提供しようと思ったら、あわせて食事指導や生活指導をセットで行うことで顧客満足度を向上できる。閉経を迎えた女性は生活習慣病の罹患リスクが上がったり、男性のようなメタボ体型になりやすく、エステサロンで提供するボディケアだけで痩身効果を出すことは難しくなる。もし「年代ごとにあらわれやすい女性疾患や不調を考慮する」発想がなければ、50~60代女性に対しても、20~40代女性に提供しているのと同じボディケアメニューを提供することになり、結果、痩身効果を出すことができず顧客満足度の低下を招く原因になりかねない。

主力機能だけを商品に入れ込むのではなく、年代ごとにあらわれやすい女性疾患や不調までセットで考えて商品開発を行うことで、「より効果を実感してもらえるヘルスケア商品」の開発が可能になる。年代ごとにあらわれやすい女性疾患・不調は開発段階で確認しておこう。

女性特有の不調・疾患

4.ヘルスリテラシ―レベル

ヘルスリテラシーは収入や学歴と、相関関係にあることが知られており、実際、富裕層と低所得者層を比較するとヘルスリテラシ―が高く健康ゴトに時間・労力をかけるのは富裕層だ。ヘルスリテラシ―レベルが高い層を狙うほうが健康行動は促しやすい、つまり自社開発のヘルスケア商品に興味を持ってもらいやすいが、どちらを狙うのがベストか?は、各社開発の商品ジャンルや狙いたい市場によって異なるため一概にヘルスリテラシ―レベルが高い層を狙うのがベストとは言えない。ヘルスリテラシ―が高い層を狙うのか、低い層を狙うのか?によって開発すべき商品も、その後の販売戦略も大幅に変わってくる。ヘルスリテラシ―レベルも商品開発を進める前段階で確認しておきたい。

5.デジタル度合

特に医療・ヘルスケア産業ではデジタル技術が急速に進み最先端技術がてんこ盛りのヘルスケア商品が増えているが、女性のデジタル利用率は未だに高いとは言えず、使いこなせない女性も多い。これは一部特別な女性や高齢女性だけの話ではなく、20~30代の若い女性でもデジタルを苦手とする女性は多く、ある30代女性はこのように言っている「facebook、instagram、メルカリの違いが全く分からない」。ウェアラブル端末の利用率に関する調査では女性の利用率はわずか数%という結果も出ている。商品開発する際、アナログ商品を目指すのか?それともデジタル100%商品を目指すのか、それともデジタル50%+アナログ50%商品を目指すのか。デジタル度合の割合は事前に検討したい。

女性向けヘルスケア商品の開発事例

女性向けヘルスケア商品の開発で参考にしたい事例は以下3つ。いずれも女性のニーズや社会トレンドを正確に捉えており、かつ斬新性が高い。

1. 乳がん発見IoTブラジャー「EVA」

1週間に1回わずか1時間着用するだけで乳がんの早期発見が可能になる「乳がん発見IoTブラジャー」。メキシコ発。乳がんは早い発見が鍵となるが、発見が遅れて命を落としてしまったり全摘になる女性は後を絶たない。それを、日頃使用するブラジャーで発見しやすくするという、これまでにはなかった画期的商品。「乳がん検診に行くべきと分かっているが面倒、時間がない、つい後回しにしてしまう、痛いから怖くて行きたくない」と検診を敬遠する女性は多く、これらが乳癌発見の遅延を招く大きな原因にもなっている。それを見事に解決したのが同商品。商品が発表されるとその斬新さでたちまち話題に。

2.油性マーカーを簡単に落とす「シャワーヘッド型美顔器」

テレビCMで放映され、たちまち「何あれ!?」と注目を集めたのがシャワーヘッド型美顔器のミラブル。「肌に負担かけずに毎日洗顔したい」「疲れた夜でもさっと簡単に、時短に、完璧にメイクを落としたい」ニーズに応えている。商品自体も斬新だが、商品特性の“見せ方”も女性を惹き付ける構成になっている。テレビCM放映開始直後すぐに注目されたのも納得。

3. 健康寿命伸ばす4世帯住宅

高齢者向け住宅や二世帯住宅と言えばこれまではバリアフリーが一般的だったが、LIXIL住宅研究所が2018 年に発表した「~人生100歳時代の未来住宅~五世代」は、あえて家中に段差を組み込んだ設計になっている。人生100年時代に備え、暮らしながら足腰の衰えを防止する「健康寿命を伸ばす」住宅。これまでの常識とされてきた「バリアフリー」を無くしたことは時代の流れを反映しており、さらに昨今の消費スタイルである「家中充実」ニーズに応えている。

商品開発で意識すべきは販売戦略の仮設計

商品開発で一番意識すべきは、開発段階で販売戦略まで仮設計をしておくこと。特に大企業では開発部署と販売部署が別になっているのが一般的だが、それゆえどうしても開発部署は “ 研究者・開発者目線 ” になりがちだ。すると、商品が完成して販売部署へ仕事が移る頃には、販売部署のメンバーは「ターゲットのニーズに微妙に合ってないな〜。売るのが難しい」「デザインがどうも今のトレンドに合ってない」「誰をターゲットにした商品なのか曖昧で、適格なキャッチコピーが見つからな」などの事態が起きてしまう(実際にそのような事例を、弊社では多く見てきた)。開発段階で「売るときのこと」まで考えておくだけでも、このような事態を避けることは可能だ。つまり、商品開発失敗のリスクを少しでも抑えられる。商品開発ではブルーオーシャンを見つけることから始めるのも手。以下記事をチェック。

 

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