働く女性の非正規職の貧困層はマーケティングに入れるべきか?

女性のライフコースの多様化で様々な生き方をする女性が増えている。一般的に男性は、学校卒業後就職、結婚、妻の出産、育児を経たとしても、生涯退職するまで消費行動や価値観、生き方が大幅に変化することはない。しかし女性は、卒業後就職した後は、「結婚して退職して専業主婦になる女性」「生涯独身で仕事をバリバリこなす女性」「結婚してパートで仕事しながら子育てをする女性」など多岐に渡るライフコースがあり、各ライフコースの選択により生き方や価値観、消費行動は大きく変わっていく。(ウーマンズラボでは、女性を20のライフコースにセグメントしている)

華やかで消費も旺盛に見えがちな独身女性

昨今、働く女性の増加と共に「一人で生きていくこと」を選択する女性も増えており、彼女たちは「結婚はしない、子供も産まない」という選択をする。故に貯蓄も多く、稼いだお金はすべて自分自身のために使うことができる。そんなイメージから、マーケティング上でも各社「働くシングル女性」をターゲットにするケースが多い。消費行動が活発で、かつ高額商品に対するハードルも低く、時間も自由に使える印象があるからだ。

確かに、子育てママや結婚した女性など他のライフコースの女性と比較すると、働くシングル女性はお金も時間も自由に使えるため独身を謳歌する華やかな人生に見え、マーケティングやメディアでも度々注目される。

しかし、それは「正規雇用の女性」である、という前提があることを理解したい。正規雇用、非正規雇用では、年収にも大きな差があり、同じ「働くシングル女性」といっても、価値観や生活スタイル、消費行動、ニーズ、心情などは大きく異なる。

非正規職の女性の実態は3割が貧困層

各社がマーケティングでターゲットとしている「シングル女性」とは、あまり意識していないかもしれないが「正規雇用の女性」を想定している場合が多いのではないだろうか。非正規雇用の女性にスポットが当たることはあまりないが、増え続ける非正規雇用労働者の7割は女性であること、そして2002年は16万人だった35~44歳の非正規雇用シングル女性は2014年には3倍の52万人に増えている現状を考慮すると、無視できないマーケットの一つになっている。

1997年において初職が正規雇用であった女性は68.3%であったが、2007年には45.3%と、最終学歴を終えた後、正規に就く割合が確実に低下している。およそ6割近い女性が卒業後、非正規もしくは無業となっている。(引用元:女性のひろば 2016年7月号 P.56)

更に、非正規雇用のシングル女性35~54歳未満の層のうち3割は年収150万円以下で貧困層となっているという。非正規雇用で働くパート主婦の場合は、あくまで夫が柱となって稼いでいるという前提があるため、収入が少なくても深刻な問題になることはない。しかし、非正規雇用のパート主婦と同等の収入ですべての支出を賄わなければならない非正規雇用のシングル女性の場合は話が全く違ってくる。死活問題だ。これを「非正規雇用シングル女性の新たな問題である」、と同誌に寄稿する福岡女子大学教授の野依氏は言及している。

非正規職の女性はブルーオーシャン市場か?彼女たちが求めること

未婚率が上昇している背景も考慮すると、今後ますます非正規雇用シングル女性は増えていくと言われており、このマーケットは無視できなくなってきている。しかし非正規雇用のシングル女性をターゲットにする場合、必ずしも「消費行動が活発!」とは言えず、企業としても短絡的に「非正規雇用のシングル女性をターゲット!」と決定すべきではない。では、この層を(特に非正規雇用シングル女性のうち年収が低い層)マーケティング上から外すべきなのか?というと、そうでもなく、この層をターゲットにする企業がまだまだ少ないからこそ、ブルーオーシャンともいえる市場だ。同教授によるこの度の調査によると彼女たちには以下のニーズがあったという。

・同じ立場の人たちとの交流の場(28.4%)
・話を聞いてもらえる場(27.2%)
非正規職シングル女性の交流サイト(25.7%)(引用元:女性のひろば 2016年7月号 P.58)

悩みが深刻であるが故に、こういったニーズに応えるサービスが出てくれば顧客ロイヤリティは非常に高いはずだ。今後さらにこの層が増加していくことを考えると、課題はまだまだあるものの企業にとっては大きな商機の一つかもしれない。併せて以下の3つの記事もご覧頂きたい。

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