【厚労省】認知症施策推進「新オレンジプラン」を理解しよう
厚生労働省は、新オレンジプランに基づいて取り組みを行っている自治体のうち4つの自治体の実施状況を調査し、その結果を6月24日(金)に公表した。新オレンジプランが目指している「認知症の人が自分らしく暮らし続けることができる社会」が徐々に実現されていきそうだ。
新オレンジプランとは?
「認知症高齢者等にやさしい地域づくり推進」のために、厚生労働省が11府省庁と策定したのが、新オレンジプランだ(認知症施策推進総合戦略)。2012年の認知症高齢者の数は推計462万人。2025年は700万人にまで達すると見込まれている。65歳以上の約5人に1人が認知症という計算だ。もはや特別な病気ではなくなる。この状況が近い将来やってくることから、政府は「認知症を社会全体で理解し、支えていこう」という考え方を広めるべく、認知症施策推進に力を入れている。
その実現に必要な要素として、「認知症への正しい理解」「容態に応じた適時適切な医療・介護の提供」「認知症の人が住みやすい地域づくり」「認知症の人のQOL向上」「介護者のQOL向上」「認知症の予防法などに関する研究開発の推進・支援」などを挙げている。
新オレンジプランで提唱している7つの柱
- 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
- 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
- 若年性認知症施策の強化
- 認知症の人の介護者への支援
- 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
- 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
- 認知症の人やその家族の視点の重視
認知症の社会的イメージを変えるために、従来とは違う視点で策定
従来の認知症施策は、「認知症を患う人の視点ではなく、介護を行う側の視点」で作られていたのに対し新オレンジプランでは、「認知症の人とその家族の視点」を重視している。これが、大きな特徴だ。
社会全体の認知症への理解が低いまま、そして社会が認知症を支える仕組みが不十分なまま超高齢社会が進んでしまうと、様々な問題に急激に直面することになる。認知症患者の増加、認知症の症状悪化、介護者不足、医療費増大、認知症への偏見などだ。これらの社会課題を膨らませないために策定された新オレンジプランは、その役割に大きく貢献するだろう。
人口ボリュームの大きい団塊世代が75歳を迎える2025年を見据えての施策だが、それまで残り9年。この間に、各自治体、企業、研究機関、地域の人々の様々な取り組みが加速していくことで、画期的な認知症予防法が誕生したり、認知症患者や介護者を支える、あるいは楽しませる様々な商品やサービスも続々と生まれるかもしれない。新薬の開発や人的サービスの充実はもちろん、IoT、AIといった分野の活躍も期待できる。動向を追っていきたい。新オレンジプラン概要はこちら。