BtoGtoC・BtoBtoEのヘルスケアサービス導入で重視すること、「自治体」と「企業」で顕著な違い
BtoGtoCやBtoBtoEのヘルスケアサービスの開発・提供が相次いでいるが、提供先となる自治体や企業での導入状況はどうなっているのか?ヘルスケアサービスの社会実装を推進するAMEDが、自治体と企業が住民や従業員向けに外部のヘルスケアサービスをどの程度、利活用しているのか、また利活用における考え方や課題を明らかにするため、自治体と企業を対象に調査を実施した。調査結果からは、自治体と企業では、求めているヘルスケアサービスや導入にあたって重視していることが異なることなどが明らかになった。導入提案にあたっては、自社サービスとの相性も踏まえた上で、戦略を変える必要がありそうだ(AMED「ヘルスケアサービス提供・利用に関する意向調査」2204)。
調査結果サマリー
調査は、311の自治体と221の健康経営に取り組む企業を対象に行った。ここで言うヘルスケアサービスとは、公的医療・介護保険の対象外のもので、運動指導、栄養指導のような生活習慣の改善や、アプリ・ウェアラブルデバイスなどによる行動変容のためのアプローチなどを軸にしたサービスを指す。
ヘルスケアサービス導入率、自治体5割・企業7割
自治体と企業それぞれに、外部のヘルスケアサービスを導入しているか尋ねたところ、導入率は企業の方が高い結果に。現時点では、導入に前向きなのは自治体より圧倒的に企業、と言えそうだ。今は導入していないが今後の導入を検討している割合は大差なく、両者とも1割だった。
<導入している>
・自治体…47.0%
・企業…74.2%
<導入を検討中>
・自治体…13.2%
・企業…13.6%
<導入する予定はない>
・自治体…33.8%
・企業…13.6%
何のヘルスケアサービスを導入している? 自治体と企業で顕著な差
続いて、前問で「導入している」「導入を検討中」と回答した両者に、「導入済み、または導入検討中のヘルスケアサービスは?」と聞いたところ、顕著な違いが見られた。自治体は、中高年層の医療介護費抑制に繋がる領域のサービスを求める傾向がみられ、トップ3は「生活習慣病の予防や改善支援(76.0%)」「フレイルの予防(36.3%)」「認知症予防(14.4%)」。企業も同様に、「生活習慣病の予防や改善支援」の導入率・導入検討率が最も高いが、生産性に影響する領域を重視しており、トップ3は「生活習慣病の予防や改善支援(68.3%)」「メンタルヘルス対策(47.0%)」「女性特有の健康課題改善(26.8%)」。
導入にあたり優先すること、トップ3
続いて、「費用以外で導入時に優先度が高い3項目」を選択してもらった。ほとんどの項目において両者とも同程度に重視しており、特に割合が高いのは「エビデンス」「導入後の利用者の継続率」「UI」。エビデンスについては両者ともに6割超えとなった。2者間で最も開きがあったのは「導入実績」で、自治体の方が実績を気にする傾向が強いことがわかった。
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