美容医療最前線 豊胸手術のいま
豊胸手術は美容医療の中でも昔から定番で、美容整形といえばこのメニューを思い浮かべる人も少なくないのではないだろうか。美容医療の進化に伴い、豊胸手術はどのような進化を遂げているのか。またユーザーの考え方に変化は生じているのか。今回は、豊胸手術に積極的に取り組むオザキクリニックLUXE新宿院の中徳太郎院長に最新の動向を取材した。 (執筆:美容クリニックの専門サイト「alluxeWEB」)
豊胸を受けたいという人は一般的にどのような希望をもっているのだろうか。ハリウッド女優のような理想のメリハリボディをめざす人が多いと思われるかもしれないが、実際はそうでもないようだ。
「一番多いのはやはり胸が小さいコンプレックスがある方。グラマラスになりたいというよりは、1カップくらい自然に大きく見せたい、洋服が似合うようになりたいという希望を持っている方です。次いでよくご相談があるのが、授乳後、しぼんで皮膚が垂れてしまった人が元のボリュームに戻したいという方ですね(中院長)」
乳がんで切除された部分の外見を取り戻す「乳房再建」に関してもニーズはあるが、こちらは保険診療で受けられるため、美容クリニックで手術を受ける人は減少傾向にあるとのこと。
豊胸の施術は、これまで「豊胸バッグ(インプラント)」「ヒアルロン酸注入」「脂肪注入」という3種類を中心に行われてきた。「豊胸バッグ」はよく知られているように、シリコン製などのインプラントを脇から胸に挿入して大きくする手術。「ヒアルロン酸注入」は、プチ整形などでおなじみのヒアルロン酸製剤を注入することで乳房のボリュームを大きくする注入治療。「脂肪注入」は、脂肪吸引などで抜いた自分の脂肪を注入することで、バストを大きくする注入治療だ。
中院長によれば、直近の傾向として、3番目の「脂肪注入」にはいわゆる再生医療の流れが加わってきているそうだ。これまで脂肪注入は自分自身の細胞とはいえど生着率は決して高くなく、石灰化のリスクも叫ばれてきた。生着できなかった細胞の壊死や石灰化は、日常生活に重大な問題を起こすことは多くはないが、乳がん検診のマンモグラフィーで乳がんと見分けがつかなくなるという欠点があった。 直近の治療では、脂肪細胞から幹細胞を取り出して、注入時に高純度の脂肪と組み合わせることで、生着率を高めることができるという。
「今まで脂肪注入はダウンタイムがあることから敬遠されてきた部分がありますが、吸引した脂肪を保管できる施設ができたことから、複数回に渡って脂肪吸引するような負担が減り、新しい流れとして需要が出てきていると思います。(中院長)」
豊胸では一度に多量の注入を行うことはできないが、脂肪細胞を冷凍保存できる仕組みが整えば、体にも経済的にも負担の大きい脂肪吸引を一度で済ませることもできるだろう。今夏には豊胸バッグに関するネガティブな報道もあったので、注入による豊胸の追い風になるかもしれない。
気になる仕上がりについてだが、いくつかの方法を組み合わせることが結果的に希望のバストを叶えることになりそうだ。
「基本的には、希望のバストの形に仕上げることが可能です。人によると思いますが、まったくない状態の場合は豊胸バックを入れてから周りに脂肪を入れるなど組み合わせ治療を行うこともあります。脂肪をたくさん入れればしこりができやすくなるリスクもありますし、一方で豊胸バックのみでサイズアップをすると不自然な仕上がりになるケースもあります。また、左右差でお悩みの方は、注入量やバックのサイズを変えて仕上がりが均等になるように治療できます。授乳による下垂の場合は、乳房の上部のボリュームが減った部分を補うことで満足度の高い仕上がりになりますね。(中院長)」
豊胸にはハイリスクなイメージがあるが、具体的にはどのようなリスクがあるのだろうか。まず、3種の施術共にあるのが体内に異物を入れることによる感染症のリスクだ。 また、豊胸バッグに関しては経年劣化による破損の可能性があり、これは炎症や硬縮の原因になる。豊胸バッグで、インプラントの周りに皮膜が生じて、リンパ腫細胞が発生するリスクは最近ニュースになった通りだ。注入治療では、アクアフィリング、アクアリフト、ヒアルロン酸などの注入剤による「こぶ」「感染症」を発症する危険性が日本美容外科学会(JSAPS)によって発表されている。 豊胸に限らず、安全衛生面での管理が行き届いている施設か、クリニックやドクターとフィーリングが合うか、どこの会社の製剤やバックを使っているか、などユーザー側でしっかり確認していくことも自分の体を守っていくためには大切になってくる。
ちょっと気になるのが、豊胸を受けた人が通常の健康診断や病気などで検査するとき。何か注意すべき点はあるだろうか。
「最終的にはバレると思いますので、事前申告をおすすめします(中院長)」
何も申告せず検査をしてしまうと触診やレントゲンで状況がわからないままに問題視されて、検査が増えることも。幹細胞を使った脂肪注入でも微細な石灰化はでき、レントゲンに写ることがあるので、がん化と見分けがつきにくくなる。担当医師にはしっかり伝えておくことが肝要のようだ。
日本人の豊胸に対する意識は、自分の顔や肌を美しくする興味関心に比べるとそこまで高くはない。若者が減っていることもあり、その時々でブームはあれど、基本的に日本人女性のめざす体系は痩せ型スレンダーで、グラマラスなスタイルをめざす傾向は今のところ少数派。さらに豊胸手術の治療には、ダウンタイムなどの面倒くささ、ネガティブな印象があり、長期的な付き合いとなることがネックとなることもある。しかし、直近の技術革新によりそれらの問題が少しずつ改善していけば、今後豊胸がより身近な治療になり、広く普及していく可能性もある。
「豊胸に限らず、最近の美容医療全般で、ダウンタイムがない施術が好まれる傾向にあります。今後の豊胸で主流となるのは、脂肪を保管でき、負担を減らすことができる脂肪注入や幹細胞による豊胸でしょう。注入剤に関しても手軽で長持ちし、かつ安全性の高いものがでてくれば、一般的な発展性も見込めると思います(中院長)」
取材協力:(医)有恒会 オザキクリニック 総院長 中徳太郎医師
【執筆】株式会社alluxe
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