間違った食知識が定着 高齢者の「粗食思考」
高齢者の食に関して、高齢者自身やその家族の間で間違った食知識が定着しており、それがフレイルの要因となっている可能性が高いことがネスレ日本ネスレヘルスサイエンスカンパニー(神戸)の調査で明らかになった。同社は食事量やカロリーを摂りすぎない食事を「粗食」と定義し、「後期高齢者(75歳以上)の食と健康に関する実態調査」を実施、以下の結果となった。(調査対象:75歳以上の男女、75歳以上の同居家族を介護・支援する男女、管理栄養士の合計1,200人)
- “粗食志向”をはじめ、間違った食知識が高齢者自身やその周辺に散見
- 約9割の高齢者、約7割の介護・支援者は今の食事量でも栄養が十分だと思っているが、栄養のプロである管理栄養士の約7割は「足りていると思わない」と回答
- その背景には、根強い“粗食志向”。しかし、栄養のプロ・管理栄養士から見たら“不健康”
- 「粗食が大切だと思う」と回答した高齢者は76%、介護・支援者は51%。一方、管理栄養士はたった20%
- 高齢者の2人に1人が「フレイル(加齢による心身の衰弱)」の疑いあり。食とフレイルには密接な関係が
- フレイルの疑いがある人のうち約8割が「粗食が大切」と信じていた
- フレイルの疑いがある人のうち約7割が「食事量を減らしていた」
- 食に対する悩みが、フレイルの疑いがある人は、フレイルの疑いがない人の1.5倍あった
(引用:ネスレ日本株式会社ネスレヘルスサイエンスカンパニー)
後期高齢者は「粗食が健康にとって大事」との認識が強く「現在の食事内容で十分な栄養をとれている」と90%が自覚している一方で、管理栄養士の71%は「そう思わない」と回答しており、高齢者自身と、栄養のプロである管理栄養士の間には大きな認識の差があった。
高齢者の低栄養は、全身が衰弱して生活力が損なわれるフレイルの大きな原因といわれている。また生活の質が低下し、要介護度が増し、疾病からの回復が遅延することによって、寿命の短縮を招く。高齢者には、特にたんぱく質とエネルギーを十分に摂取することが健康維持にとって必要であるとの認識を高齢者自身、その家族に持ってもらうことが必要だ。
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