医師が疑問視した「血液クレンズ」、ブームが去った今どうなった?
美容クリニックのメニューの中でも比較的気軽に受けられる施術のひとつとして知られるのが「血液クレンジング®」だ。(「血液クレンジング®」は有名な呼称だが日本国内流通用の商標なので、本稿では基本的にオゾン療法と呼ぶ)
実はこのメニューは美容医療というよりも巷間で発達した健康法の一種だ。オゾン療法は主に非英語圏のヨーロッパで、ドイツ発祥で60年以上の歴史を持つが、近代西洋医学のエビデンスからは離れたいわゆる代替医療で、体内の酸素運搬能力が高まり自己免疫力を強めると喧伝されている。
日本国内では、たいへん長生きしたイギリスのエリザベス女王の母クイーンマムが定期的に受けていた健康法という触れ込みで10年以上前に紹介された。国内での流通にあたり、芸能人・有名人によるレポや派手な宣伝文句もあってブームになったが、同時に効果や安全性を疑問視する医師による反論なども起きて、ちょっとした騒動になった。流行の毀誉褒貶(きよほうへん)を経験しながら、人の生死に関わるような重篤な副作用は確認されず、美容クリニック、点滴クリニックの一診療メニューとして定着してきた。
脱血した100~200ccほどの自己血液に医療用オゾンを混合してから、輸血のように体内に戻すという流れになっている。海外では日常的な健康法としての利用以外に、がん、HIVやB型C型肝炎といった重篤な疾患の補助的な施術として取り入れられるケースもあるようだ。
オゾン療法の施術は、受ける人にとって「ビジュアル的」にわかりやすく提供されている。静脈から脱血したばかりの血液はおおむね黒みの強いドロっとした状態だが、オゾンを混合することで鮮やかな赤色に粘性もサラッとした感じに変化する。その様子を治療中に見せてもらえるので、受けた人の多くは自分の血液がまるで生まれ変わっていくような爽快感を感じる。国内で「血液クレンジング®」と名付けられたゆえんだろう(変化は単純な化学的反応で、人工透析のように実際に血液をキレイにしているわけではない。海外での呼び方もautohemotherapyなど、基本的に浄化や洗浄といったニュアンスはない)。
治療を受けた直後の方に話を聞いてみると、大体の人が口にするのが、「なんだか体がポカポカする」という感想だ。この効果がオゾンの効果によるものか、脱血と再輸血によるものかはわからない。「頭や全身がスッキリと目覚める感じ」などの感想も多いが、カッピングのような瀉血療法(しゃけつりょうほう)とよく似た感想で、一定量の血液を抜くと人体にはそのような感覚が生じるのかもしれない。またオゾン混合部分の効果としては、少数ながら末梢動脈閉塞性疾患という動脈の硬化に対して有効な臨床結果が報告されているようで、血流の改善に関しては一定の評価ができるかもしれない。
とは言え血液クレンズは賛否が大きく分かれている。実際に血液クレンズを受けてポジティブな効果を感じている人もいれば、疑問視する医師などの意見も見られる。体験前は事前にしっかり検討するのが良いだろう。
【執筆】株式会社alluxe
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