健康・美容業界で増える「リブランディング」 企業事例・ブランド事例を交えて有効性を考える(4/5)
4.ブランドイメージが古くなったとき
顧客から見たブランドイメージが古くなった時も、リブランディングのタイミング。以前は時代に合っていたものの、パッケージや広告などのデザイン・文言がトレンドとかけ離れていると、古いと思われるようになる。
わかりやすいのは、栄養ドリンク「リゲイン(第一三共ヘルスケア)」のキャッチコピー。今30代後半以降の人なら、CMの影響で誰もが口ずさんだことがあるだろう。バブル期の1990年前後に放送された同商品のCMでは、ビジネスマンが「24時間、戦えますか。リゲイン、リゲイン、僕らのリゲイン」「ビジネスマ〜ン、ビジネスマ〜ン、ジャパニーズ・ビジネスマ〜ン」と元気に歌いながら仕事に全精力を傾ける様子が描かれている。
バブルに沸き立ち、昼夜問わず働く男性が多かったこの時代にマッチした歌詞(24時間、戦えますか)と覚えやすいメロディーで、世代を超え多くの人に知られ(当時は小学生も歌っていたものだ)、「リゲイン=24時間働き続けるための栄養ドリンク」というブランディングが確立されたが、働き方改革が進む現代もこのコピーにこだわっていたらどうだろう?間違いなく「リゲインはブラック企業を推進している!」と大炎上だ。人気ブランドであっても、時代の変化についていかなければ、消費者に古い印象を与え受け入れられなくなるということを象徴するわかりやすい事例だ。
ちなみに、その後リゲインは「女性向け」や「糖類ゼロ、カロリー控えめ」など時代に即した商品の発売を続け、2019年には「(24時間ではなく!)人生100年時代を応援する商品」として、錠剤タイプの発売を開始した(リゲイン トリプルフォース)。1988年〜2019年のリゲインの歴史はこちら。
リブランディングを実施するケースとして一番頻度が高いのは、ブランドの魅力が再度問われているケースだが、その時に必ず確認しなければならないのは、そもそも提供している商品やサービスの内容に問題がないのか?と言うこと。
品質に問題があるのであれば、リブランディングに動き出しても徒労に終わる可能性は高い。品質に問題がなく単に「見た目や、見た目が与える印象」が時代的に古くなったのであれば、新しい技術や表現方法などを活用して商品パッケージのデザインを見直すだけでも十分リブランディングの目的を達成できる。