予防医療ビジネスの最新動向、0次〜3次予防の段階別ベンチャー事例(2/3)
生活者の予防医療意識
次に、生活者自身の予防医療意識について見てみよう。マクロミルとキューサイが予防医療をテーマに調査を実施している。
言葉の認知率・取組み状況・きっかけ
マクロミルが「予防医療」の言葉の認知率・内容の理解度、予防医療の取組み状況・取組んでいる内容・取組み始めたきっかけなどを男女1,000人に聞いたところ、次の結果となった。言葉の認知はある程度あるものの、内容の理解までは進んでいない様子。とは言え、病気予防のために何かしら行動をしている人は一定数いる(対象:全国20~69歳の男女1,000名,「新しい医療の取組みに対する意識調査2018」)。
- 予防医療の認知
・予防医療の内容までを理解している(16%)
・予防医療の言葉は、見聞きした程度(58%) - 予防医療の取り組み状況
・1年以内に予防医療に意識的に取り組んだ人(72%) - 具体的な取り組み内容
・人間ドック・健康診断(31%)
・運動(31%)
・食生活の見直し(30%)
・睡眠の改善(20%)
・予防歯科(19%)
・予防接種(18%)
・ダイエット(14%) - 予防医療に取り組んだきっかけ
・自身の病気や体調不良(37%)
・健康診断の結果(32%)
・テレビ番組の情報(19%)
・家族や友人のすすめ(18%)
・医師のすすめ(13%) - 今後の取り組み意向
・積極的に取り組みたい(27%)
・まあ取り組みたい(62%)
予防医療ニーズは、男性<女性
キューサイも予防医療に関する意識調査を実施している。20〜40代の男女600人を対象にした調査で、こちらは男女別に集計している。結果を見ると女性の方が予防医療に対するニーズが強いことがわかる。もともと女性の方が健康意識も行動者率も高いからだろう。
予防医療の実施率と意向(男女別)
次のグラフは予防医療の現在の実施率(黄)と今後の意向(緑)を表したもので、いずれも女性の割合の方が高い。
予防医療は社会に必要?(男女別)
「予防医療はこれからの社会に必要」と考える人の割合も、女性の方が高い。
予防医療に取り組まない理由(項目別)
こちらは男女別の集計は出てないが、マーケティング視点で参考になるので紹介したい。以下の各健康行動をやりたいと思っているのにやっていない人を対象にした質問で、「なぜその健康行動をしないのか?」。
- バランスの良い食生活を送る
- 摂取カロリーに配慮した食事を摂る
- よく咀嚼するなど、時間をかけて食事をする
- 禁煙に取り組む
- お酒を飲まない日をつくる
- ストレスを溜めない
- 外食時も栄養バランスを意識する
- 健康食品やサプリメントを摂取する
- コンビニ・スーパー・外食ではなく、自炊をする
- 食事のメニューに気をつける
- 毎日自宅で適度な運動を行う
- お酒の量を控える
- しっかり睡眠をとる
- 健康診断を定期的に受ける
- ジムやウォーキングなどの運動を行う
- 医師や栄養士から生活習慣についてアドバイスを受ける
各項目において「やらない理由」で圧倒的に多いのは「面倒に感じるから」だった(詳細は以下表)。他、「ストレスが溜まりそうだから」「楽しみがなくなるから」「時間がないから・忙しいから」も理由に挙げる人が多いことがわかった。
消費者や患者の健康行動変容促進を図るなら、この調査結果を参考に、項目別の理由を踏まえて考えるのが良さそうだ。