シニア女性の「これは私向け商品じゃない」を払拭 パラマウントベッドのフレーズ

ある60代女性がこんな言葉をこぼしていた。「夫とテレビを一緒に見ているときに大人用オムツのCMが流れると、毎回とても気まずい雰囲気になる。使うのも嫌だけど、あのようなCMを見るのも嫌。デリケートな問題なのだから打ち出し方をもっと配慮してほしい」。納得の言葉だ。

シニア向け商品・サービスは打ち出し方に配慮したい

シニア向け商品・サービスは、打ち出し方を間違えると消費者を不快な気分にさせてしまうことがある。大人用オムツの他にも、例えば店頭で見かけることが多い「シニア割引!年齢確認できる証明書の提示で割引可」という文言。喜ぶ客もいるが、中には「なぜ知りもしない店員に自分の年齢を公開しなくてはいけないの?」と不快になる女性客もいる。

女性には年齢を聞かないのがマナー、そして女性自身も自分の年齢をあいまいにする人が多いことを考えると、店頭で年齢確認できる証明書を提示することに抵抗を感じる女性がいるのは当然のことだ。

パラマウントベッド「電動ベッドのち介護ベッド」

シニア向け商品・サービスでは、言葉遣いや見せ方などに、より一層の配慮や工夫が必要になる。具体的にはどのような表現が良いのか。今回事例としてご紹介したいのが、パラマウントベッド(東京・江東)が現在TVCM放映中の商品「INTIME1000」を紹介する文言だ。以下の動画を見てみよう。

登場する夫婦が、いかにもな「おじいちゃん、おばぁちゃん」像ではなく、「オシャレで素敵な大人夫婦」像にしているところも好感を持てるが、注目したいのは最後の言葉「電動ベッドのち介護ベッド」。CMでは娘と母親がこんなやりとりをする。

  • 娘:「わぁ~!(このベッド)いいね!」
  • 母:「介護ベッドにかえられるのよ」
  • 娘:「まだいらないでしょ」
  • 母:「ふふふ(夫を見てお互いに笑いあう)」

そしてこのようにナレーションが続く。

  • ナレーション:「いま、ほしくなるベッドであること。やがて、ほしくなるベッドであること」
  • ナレーション:「電動ベッドのち介護ベッド インタイム1000」

もし「介護ベッド インタイム1000」という打ち出し方をしていたら、多くの消費者は「私にはまだまだ関係ないわ」と感じてCMに意識を向けないか、あるいはベッドを購入しようとあれこれ比較している時に、「介護ベッドは20年先の話ね」と、選択肢から外すかもしれない。

「そうね。確かに、どうせ高い買い物をするなら、将来に備えて介護ベッドにもなるベッドがお得よね」と、さりげなく意識させるフレーズ。そして、大人用オムツのCMのような “恥ずかしさ” や “不快な気持ち” を消費者に感じさせない。好感度の高いプロモーションだ。シニア女性に商品・サービスを打ち出すときはくれぐれも心を“傷つけない”表現や打ち出し方になるように気をつけたい。

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