理美容業界でも、不安の声続出 今店舗ができることは

新型コロナによって理美容業界はどんな状況なのか。ネット上の声をのぞいてみた。

今なお美容室を利用する客に、美容師から不安の声

コロナ禍でも美容室を利用する客はいるようだ。先日公開した記事「コロナ自粛で美意識高い女性の、美容クリニック利用増加 現場からは怒り・不安」をご覧頂いた大阪の美容室勤務の美容師(女性)の方から、ウーマンズラボ編集部宛てに「美容室も危険です!取り上げてください!」との連絡を頂いた。早速、美容室の実際の様子について取材してみた。

【編集部】
客は減った?

【美容師】
平時の半分以下に減った。

【編集部】
客層は?

【美容師】
お年寄りから子連れまで。中には、わざわざ梅田まで電車を乗り継いでくる客も。危機感より美意識が高いのだろう…

【編集部】
接客中はマスクができないとのこと。その理由は?

【美容師】
スタッフはしている。客がマスクをできない。なぜなら、シャンプー、カラー、パーマ中は水や薬剤がつくから客はマスクを外さなければならない。小さな店舗だと席の感覚も狭いし、3密。そして客は(コロナストレスにより)ふつうに喋る。

【編集部】
貴店の経営者はどんなコロナ対策をしている?

【美容師】
できる対策はしているが、休業要請が出てないし、補償もないし、やはり売上優先。

【編集部】
他美容師たちも「接客が怖い」「休業要請を出して」という気持ちで日々仕事してるのか?

【美容師】
「#美容師コロナ」を見れば、それが分かるはず

そこで、Twitter上で「#美容師コロナ」で検索すると、美容室で働く多くの人たちが、「不要不急なのになぜくるんだ!」「命かけてまで客には尽くせない」「頼むから休業要請出してくれ」との声が。

「店舗経営者・国」と「理美容の現場で実際に働く人たち」の間にはリスク管理に対する大きなズレが生じている。

店舗は新たな提案を

当記事を執筆している今現在も(4月23日)、理美容の現場で働く多くの人たちから「働くのが怖い」といった声がたくさん出ている。

しかし国の対策には期待を持てず、さらには感染予防リテラシーが低いと言わざるを得ない客たち全員に利用自粛を訴えかけ意識を変えさせることも難しい。そして売上を確保したい(そして雇用も守りたい)経営者や幹部たちに、雇用者側が休業をお願いすることも、立場的にハードルが高い。

コロナ禍における新たな形を模索

ではどうすれば良いのか?一つの解は「理美容室内でのサービス提供」にかわる「新しいサービスの提供」ではないだろうか。理美容サービスの自粛による髪周りの悩みは前述の通り増えている。利用自粛をしている人たちは、自分で髪を自宅で染めてみたり、家族に髪を切ってもらってはいるものの、カットなどうまくいかない様子。

自宅でヘアケアにトライする人が増える中、例えば「抜け毛が増えた」「髪がバサバサでまとまらない」「白髪が目立ってきた」「プリンになってきた」といった悩みに対応する商品を通販で提供する、セルフヘアカットの方法や抜け毛ケアをレクチャーする動画を公開するといったことはできそうだ。

飲食店はコロナによって宅配に切り替えるなど新しい道を模索しており、なかには近い未来での営業再開に向け、「応援」という形で客から先行して料金をもらうという形態(クラウドファンディング)をとる飲食店もある。企業は、新規顧客獲得のための訪問営業や、セミナー開催のかわりに積極的にウェビナーを開催している。劇場を閉鎖中の吉本興業も新たな道を模索し、「芸人オンライン呑み会」を企画。芸人とファンがオンラインでつながり一緒に呑むというもので、クラウドファンディングにより、目標金額50万円のところ、4月23日時点で1,233,000円が集まっている。

平時よりもサービスは劣るかもしれないが、理美容サービスも、知恵を絞ればこの有事だからこそ始められる新たなサービスの形があるかもしれない。

業界団体を頼るよりも、個々の店舗で対策を

編集部とつながりがある、都内美容室勤務の美容師がこんな情報を提供してくれた。大手の理美容業界団体に対し、電話でこんな問い合わせをしたという。

「なぜ、団体として業界全体に向けて声明を発表するなり、国や自治体に対して働きかけを行うといったことをしてくれないのか。全国の理美容師が、この状況でもサービス提供し続けることに恐怖を感じている。貴団体のサイトを見る限りでは“手を洗いましょう、換気をしましょう”のみの掲載で、他に何も活動を行っていない。大手の業界団体が公に声明を発表するだけでも、業界の空気は変わる」。

すると、以下の回答があったという。

しかるべき対応は国や自治体に対して今もうすでに進めている。しかし、その内容については“交渉事”になるため今この電話で公開することはできない。とりあえず、行動はしています。

という、なんとも歯切れの悪い回答だったとのこと。どういった“交渉事”を自治体や国に対して行っているのか、およその方向性だけでも教えてほしいと何度聞いても、「教えられません」の回答しか得られなかったという。

政府も業界団体もこんな調子では、リスクに怯えながら時間だけが経過していきそうだ。今すぐできることは、理美容サービスの現場で働く人たちが利用自粛を促す声を社会全体に向け上げ続けると同時に、店舗個々が新たな道を早急に探り判断する方が早そうだ。現に、この状況において利用者が増加している美容クリニックで働く多くの人たちがネット上で声を挙げていることを拾ってか、テレビ番組で(4月22日放送「直撃LIVE!グッディ(フジテレビ)」)美容クリニックの現状について取り上げられた。声を上げればマスメディアが動き、そして社会が変わる可能性は十分にある。

 

 

 

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