女性のロコモ実態調査(20〜70代以上)

【運動器の健康・骨と関節の日】
毎年10月8日は「骨と関節の日(日本整形外科学会)」。ロコモの社会的認知度や実態について学び、「エイジテック」や「フェムテック」「エイジフェムテック」の企画・開発のヒントを探ってみよう。

ロコモ対策、なぜ女性の方が必要?

ロコモティブシンドロームは日本整形外科学会が提唱した概念で、運動器(※)の機能が低下することで要介護の状態、あるいは要介護のリスクが高まる状態を指す。運動器を構成する骨・関節・筋肉・神経のいずれか、あるいは複数に障害が生じると、運動器の機能低下のリスクが上がる。

特に注意が必要なのは女性で、ロコモかどうかをセルフチェックできる「ロコチェック」を実施すると、女性の方に該当者が多いことが各調査で明らかになっている。背景にあるのは、ロコモの要因になりやすい骨粗鬆症が更年期・閉経以降の女性に多いことや、もともと女性の方が筋力が弱いこと。

実際に「要介護者の介護が必要になった主な原因」を見ると、「骨折・転倒」を理由に要介護になった人は女性に多いことがわかる。男女間で倍以上の差だ。

 

女性の方が圧倒的に要介護者が多いのは、男女別の要介護認定者数を見てもわかる。以下は要介護認定者の数を男女別・年齢別にグラフ化したもので、特に75歳以上で男女差が大きくなっている。

 

 

要介護者が女性に多いのは女性の方が長生きすることも関係しているが、上記2つのグラフを見てもわかる通り、ロコモ対策の必要性がより高いのは女性だ。

 

認知度・不安度・ロコチェック 〜性・年齢別〜

運動器の健康・日本協会(東京・文京)は今年4月、国民のロコモの認知状況や実態についてまとめた「ロコモティブシンドローム認知度調査」を公表した。20〜70代以上の男女10,000人を対象にロコモの認知度・不安度・ロコチェックの該当状況などについて聞いた調査で、2015年から毎年実施している。今年で7回目。

調査結果を見ると、ロコモという言葉を知っている人は約半数近くに上り一定の認知があるものの、性・年代で開きがあり、また言葉を知っていても具体的な要因までを理解できている人は全体的に少なく、認知度の偏りや低い理解度に課題があることがわかる。他、女性の方が将来のロコモを不安視していることも明らかに。以下は特に目を通しておきたいファインディングス。

  • 「ロコモ」の認知度は女性の方が高い(女性48.1%,男性41.0%)
  • 「筋力の低下」「バランス能力の低下」「関節の動く範囲の縮小」「疼痛」はロコモの要因であることを理解している人は男女ともに少なく、各項目ともに理解している人は1〜3割程度
  • ロコモへの不安を感じる人は、男女ともに年齢とともに増える
  • ロコモへの不安を感じる人は、20〜70代以上の全年代において男性より女性の方が多い
  • ロコチェックを実施してもらったところ、全項目において該当者は女性に多く、女性の方がロコモの可能性がある人が多いことが判明

調査結果の詳細はレポートから閲覧可。ロコモの中でも特にどの運動器の衰えが見られるのか?どんな動作に問題を抱えているのか?ロコモ対策ニーズは特に何歳代の女性に強いのか?など、ロコモビジネスのヒントが見つかるはず。全調査項目は以下。

  • 「運動器」認知状況
  • 「循環器」認知状況
  • 「泌尿器」認知状況
  • 「消化器」認知状況
  • 「呼吸器」認知状況
  • ⾔葉の意味を理解している器官(理解計)
  • 「ロコモティブシンドローム」認知状況
  • 「ロコモ」要因認知
  • 本⼈の「ロコモティブシンドローム」不安度
  • 都道府県別「ロコモティブシンドローム」の認知度と不安度
  • ロコチェック該当状況
  • ロコチェック該当/⾮該当
  • ロコチェック「家の中でつまづいたり滑ったりする」
  • ロコチェック「階段を上るのに⼿すりが必要である」
  • ロコチェック「15分くらい続けて歩けない」
  • ロコチェック「横断歩道を⻘信号で渡りきれない」
  • ロコチェック「⽚⾜⽴ちで靴下が履けない」
  • ロコチェック「2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難]
  • ロコチェック「家のやや重い仕事が困難」
  • 「⾻粗鬆症」認知状況
  • 「脆弱性⾻折」要因認知
  • 「脆弱性⾻折」が発⽣しやすい箇所認知
  • 「運動器」の認知経路
  • 「運動器の健康・⽇本協会」の認知
  • 「Bone and Joint Decade」の認知
  • 「脆弱性⾻折」について
  • 「転倒予防に役⽴つこと」の認知
  • 「⾻粗鬆症」の特徴認知

 

 

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