「女性向けウェルネス」はどうやって商品化すればいい?人気ホテルに学ぶ3事例

今年は「ウェルネス」「ウェルビーイング」を掲げる企業・商品・サービスが急増している。平易な言い方で説明するなら「心も体も健康で幸福な状態」を指す概念だが、さて、消費者にこの状態になってもらうには、具体的にはどんな商品・サービスを提供すれば良いのだろうか?参考になるのは、ウェルネスサービス提供者の元祖とも言えるホテル・旅館業界。旅・滞在・観光を通じた心身のリフレッシュを提供価値とするサービスの特性上、ウェルネスとの相性は抜群だ。そんなホテル・旅館業界の中でも、「ウェルネスプログラム」を銘打ったプラン提供をしている事例をリサーチした。ウェルネス市場参入にあたり「ウェルネス・ウェルビーイングの概念をどうやって商品化・サービス化すればいい?」「自社のリソースをどう活用すればいい?」と悩んでいるマーケター必見。

地域の伝統文化を活用(星のや沖縄)

ウェルネス商品の開発が得意なホテル・旅館企業と言えば、各施設で独創的なコンセプトを策定し、インパクトある体験とおもてなしの提供で圧倒的人気を誇る星野リゾート。リラックス・リフレッシュできる滞在にするための工夫が、全施設の各所に散りばめられている。

その星野リゾートが「星のや沖縄」で今年12月より提供を開始するのが、「琉球養生」というウェルネスプログラム。沖縄の文化や自然体験を通じて心身のバランスを整える3泊4日の滞在型プログラムで、テーマは「緊張と弛緩の波」。様々な不調の要因は日々のストレスによる心身の”緊張状態”である点に着目し、当プログラムの開発に至ったという。同社は開発背景やプログラムの特徴を次のように述べている。

 

ストレスによる緊張状態が慢性化しがちな現代において、心身の解放・深いリラックスは重要なテーマです。緊張と弛緩の波をテーマにプログラムを構成することで、心身の解放を感じられるだけでなく、日常に戻った後も自分の力で緊張と弛緩のバランスをとるためのヒントになればと考え、当プログラムを開発しました。

人は不安や恐怖などのストレスを抱えているときには、無意識のうちに身体に力が入り、身体の痛みや不眠などの心身の不調を感じます。この緊張状態を和らげるために有効とされているのが、緊張と弛緩を波のように何度も繰り返す方法です。筋肉を意識的に緊張させたあとに、力を抜いて緩める動作を繰り返すことで、余分な力が抜けて心身のリラックスを感じられます。また、意図的に波を体験して、波の存在を意識できるようになると、緊張時に自分の力でバランスをとれるようになり、心身を安定させやすくなります。当プログラムでは、緊張と弛緩を交互に体験できるようスケジュールを組むことで、心身に深いリラックスをもたらし、体験時に触れる沖縄の文化や自然の力を活かして、さらなる英気を養います。また、緊張と弛緩の波を意識的に体験することで、日常に戻っても自分の力で波のバランスをとることができる状態を目指しています。引用:星野リゾート

 

プログラムは沖縄の自然や伝統を存分に活用した薬膳・アクティビティ・リラクゼーションで構成されており、特に注目のコンテンツは、沖縄発祥の武術である「琉球空手」の稽古と、沖縄固有の伝統文化である「琉球舞踊」の稽古で、呼吸・姿勢・意識に焦点を当て自己鍛錬の心得などを学ぶ。さらには、琉球舞踊のリズムを取り入れたオイルトリートメントも。沖縄ならではの伝統文化をふんだんに盛り込んだプログラムだ。

では実際のプログラムの流れを見てみよう。リフレッシュ・リラックス・健康回復に徹底的に集中したい人にとって魅力的な内容だ。こんな過ごし方をした3泊4日後は、間違いなく心身が元気になっているはず。

<1日目>

  • 15:00:チェックイン・コンサルテーション
  • 16:00:プールで浮遊浴
  • 17:30:浜ウォーキング
  • 21:00:スパトリートメント

<2日目>

  • 7:00 :鍛錬深呼吸
  • 8:00 :朝食(薬膳小鍋)
  • 10:00:琉球空手の稽古
  • 13:00:おやつ(紅芋団子と五穀のあまがし)
  • 14:00:鍼灸指圧
  • 18:30:夕食(薬膳御膳)
  • 就寝前:泡盛の晩酌で身体を和らげる

<3日目>

  • 7:00 :鍛錬深呼吸
  • 8:00 :朝食(薬膳ポタージュ)
  • 9:30 :琉球舞踊の稽古
  • 12:00:昼食(たまごジューシー)
  • 15:00:スパトリートメント
  • 21:00:薬草茶を飲みながら滞在を振り返る

<4日目>

  • 7:00 :鍛錬深呼吸
  • 8:00 :朝食(琉球朝食)
  • 12:00:コンサルテーション・チェックアウト

 

自然環境を活用(イラフSUI)

沖縄県・伊良部島にあるリゾートホテル「イラフSUI ラグジュアリーコレクションホテル 沖縄宮古」も、地域資源を活用したウェルネスプログラムを提供している。開業当初よりウェルネスをテーマに掲げており、2泊3日のウェルネスプログラム「ウェルネスエスケープ」が人気だという。回復・デトックス・エナジーをテーマにしたプログラム構成で、海を眺めながらプールで早朝SUPヨガ、宮古島産の食、沖縄の素材を取り入れたスパメニューを楽しめる。

ウェルネスプログラムを担当する専門スタッフ「ウェルネスコンシェルジュ」もおり、体調や希望をヒアリングしトリートメントメニューの施術に反映する。2泊3日の流れはこちら。

<1日目>

  • 到着後、フットマッサージ
  • 島のハーブティー作り体験(体の状態に合わせて)
  • 夕食:Restfull(快眠を促進するクワンソウや疲労回復効果が期待できるマグロ(伊良部島産)を使用し、身体を十分に休ませる)

<2日目>

  • 潮風を浴びながら早朝SUPヨガ&ストレッチ
  • 朝食:Wake Up (宮古島産野菜など島の恵みを身体に取り入れる目覚めのスープ、他)
  • スパトリートメント(デトックスとリラクゼーションを促す)
  • 昼食:Healthy Up (島の野菜やフルーツを使ったスムージーやミネストローネなど体を徐々に活力ある状態に導くメニュー)
  • 美しい夕陽を眺めながらサンセットビーチヨガ
  • 夕食:Energy Charge (島で採れた野菜とカツオや地鶏などの良質なたんぱく質でエネルギーチャージを促進するメニュー)

<3日目>

  • 潮風を浴びながら早朝ヨガ
  • 朝食:Beauty Charge(肌に潤いを与えるモズクと生姜のスープなど美しさを持続させるためのメニュー)

 

都心の高級空間を活用(アマン東京)

前述の「星のや沖縄」と「イラフSUI」はどちらも、宿泊してゆっくり滞在を楽しみたい人を対象にしており、大自然に囲まれた立地を最大限に活用している。ウェルネスプログラムと相性が良い環境に恵まれているため、この2施設のように伝統文化や自然あふれる場所では魅力的な企画を発想しやすい。

では、立地が街中の場合はウェルネスプログラムの提供は難しいのだろうか?そんなことはない。都心ならではの環境や高級感を強みにした事例もある。例えば、都市型ホテル「アマン東京(東京・千代田)」内の「アマン・スパ」。

都心にありなが2,500平方メートルという広々としたウェルネス施設を高層階に有し(33〜34F)、トリートメントルーム、ピラティス・ヨガ専用スタジオ、フィットネスジム、プール、温浴施設を備えている。「健やかな心身を保つことが健康維持の重要な要素である」との考えから同スパではウェルネスを軸にした複数のメニューを取り揃えており、中でも特にウェルネスを重視したプログラムが、ワンデイ型の「アマン東京 ウェルネスプログラム」。以下3種の中から自分の目的に合ったテーマを選び、健康状態に適したリラクゼーショントリートメントや、ヨガ・ピラティスなどのエクササイズプログラムを受けることができる。

  • フィットネス&トレーニング
  • マインドフルネス&ストレス管理
  • デトックス&浄化

加えてレストランでのウェルネスランチ、プールや温浴施設も自由に利用できる。可能滞在時間は10〜21時で、高層階から眺める都会の景色に癒されながら、丸一日を心ゆくまで過ごすことができる。都会の喧騒から離れた静寂な空間で手軽に心身を整えたい人にとって、街中で本格的なウェルネスプログラムを受けられるのはありがたい。ホームページからウェルネス施設の様子を確認できるので、ぜひチェックを。

 

リソースを活用したストーリーテリングを

ホテル・旅館業界が展開するウェルネス商品として3事例を紹介したが、リサーチにあたりこれ以外にも多くのウェルネスプログラムを確認することができた。コンテンツ力=プログラムの精度に差はあれど、いずれのプログラムにも共通しているのは、立地環境、伝統文化、地域資源、人的リソース、自社の強みを活用したプログラム構成と、かつ、それらを強いストーリーテリングにつなげている点だ。

この業界はウェルネス・ウェルビーイングが注目されるずっと前からウェルネス領域に関わってきた背景もあり、ウェルネスの概念を活用した商品開発はお手の物。女性たちをウェルネスに導くためにどのようなニーズをくみ取り、どのように商品化し、どのように訴求すれば良いかを熟知している。見せ方や表現も参考になるので、ウェルネス商品を開発する際には、ホテル・旅館業界の中でも人気の施設やプランに目を通してみては?

 

 

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