男女別「介護が必要となった原因」から見る、女性の健康問題

要介護または要支援の認定を受けた人の数は年々増加している。2017年の認定者数は628.2万人で、2008年の452.4万人から10年間で175.9万人増えた(内閣府「令和2年版高齢社会白書」)。特に増加幅が大きいのは要介護1(日常生活の基本的なことはできるが部分的な介護を必要とする状態)。

要介護者数の増加の背景にあるのは超高齢社会の進展だが、もう少し掘り下げて考えてみよう。そもそも要介護者となった人たちは、何が原因で介護が必要な状態になったのか?国民生活基礎調査(厚労省/H28)が男女別に介護の原因を調査している。それによると、原因は男女それぞれで次の結果となった。

65歳以上の要介護者などの性別にみた介護が必要となった原因(厚労省「国民生活基礎調査,H28年」)
女性(%) 男性(%)
1位 認知症 20.5 脳血管疾患(脳卒中) 23.0
2位 高齢による衰弱 15.4 認知症 15.2
3位 骨折・転倒 15.2 高齢による衰弱 10.6
4位 関節疾患 12.8 骨折・転倒 7.1
5位 脳血管疾患(脳卒中) 11.2 関節疾患
心疾患(心臓病)
5.4
6位 心疾患 4.3

 

女性が介護になった原因トップ3は、1位「認知症」、2位「高齢による衰弱」、3位「骨折・転倒」。男性とは異なるランキングとなった。中でも「骨折・転倒」は男性の倍近以上もの開きがある。女性は更年期以降で骨粗しょう症リスクが上がるため、転倒すると骨折しやすく、そのまま要介護や寝たきりになってしまうケースが多い。この女性特有の健康問題が影響した結果と考えられる。

女性のランキングだけを見ると、「骨折・転倒」よりも、1位の「認知症」と2位の「高齢による衰弱」に意識を取られがちだが、”性差の視点” に見方を変えると、女性特有の健康問題が見えてくる。女性が介護・寝たきりにならないようにするには転倒しない体づくりが必要で、若いうちから習慣的に運動に取り組むことが大事だ。

 

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