多死社会を迎える日本、高まる情報ニーズは何か?

人生100年時代を背景に、「老後、自分はどのように生計を立てていくのか?」「何にアイデンティティを置くのか?」など「備え」や「生き方」ばかりに人々の関心が集まっているが、それと比べると命が尽きる直前まできた時に、自分はどのような医療を望むのか?まで考えを巡らせる人は少ない印象がある。

鼻から管を入れて流動食を入れるか?

生死の現場に立ち会う機会が多い医療介護関係者ではない限り、「末期ガンで口から十分な栄養をとれなくなったら、鼻から管を入れて流動食を入れるか?」「認知症が進行し、かなり衰弱が進んだ状態で心臓や呼吸が止まった場合、心臓マッサージや電気ショックなどの蘇生処置はするか?」など、具体的な医療について考えが及ぶ人は少ないだろう。

実際に「平成29年度 人生の最終段階における医療に関する意識調査(厚生労働省)」では、「人生の最終段階における医療・療養についてこれまでに考えたことがありますか?」という質問に「考えたことがある」と回答した人は、医師は88.6%に対し一般の人は59.3%で意識差が見られた。その理由は単純に「きっかけがなかったから」が最多。反対に、自分や家族の死・病気に直面する時に最終段階の医療について考える人が多いことも分かった。

自分や家族の死・病気などで当事者意識が芽生えない限り、人生最後の医療をリアルに想像することはなかなかできない。しかし超高齢社会がもたらす多死社会に突き進む中で、「死ぬ前に最後にどのような医療を受けたいか?」について考えさせられる機会は、老いも若きも関係なく日本社会の流れからしても確実に増えていくだろう。

人生の最終段階で欲しい情報

ただ課題は、そのような情報が少ないこと。現時点では全般的に情報が不足しているので網羅的な内容が必要とされるが、具体的に欲しい情報としては、以下項目に特に回答が集まった。質問は、「あなたの死が近い場合の受けたい医療・療養や受けたくない医療・療養を考えるために、ど のような情報を得たいと思いますか?」

  • 人生の最終段階に過ごせる施設・サービスの情報
  • 人生の最終段階に受けられる医療の内容
  • 人生の最終段階における、自分の意思の伝え方や残し方
  • 人生の最終段階の相談・サポート体制

その他、調査結果の詳細はこちらから。⇒【詳細】人生の最終段階における医療に関する意識調査(厚生労働省)

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