トランプ政権の「性別は男女の二つだけ」に賛同の声、真のDEIは「差別はしないが過剰な特別扱いもしない」

トランプ米大統領は今月5日、トランス女性(男性の身体で生まれたが、性別は女性だと認識している人)が女性スポーツ競技へ参加することを禁止する大統領令に署名した。各メディアが報じた。先月の大統領就任演説でトランプ氏が明言した「DEI政策の撤廃」「性別は男女の二つのみ」に基づくもので、署名を見守った女性たちからは歓声が沸き起こった。以下は署名時の様子(TBS NEWS DIG)

 

トランプ氏が明言した「性別は男女の二つのみ」。この発言が、先月末から国内でも物議を醸している。トランプ大統領が言う性別は「性自認による性別」ではなく、あくまで「生物学的な違いに基づく性差」を指しており、性的マイノリティの差別を意図するものではないものの、これまでの「性別は自己認識に基づいて扱う」という米国の方針を大きく覆すことから、トラスジェンダーの人権や多様性の進展の面などから反発や疑問の声が上がっている。ようやく広まりつつあるDEIの世界的な流れにブレーキがかかるのではないかと、今後の行方を危惧する声も。

だが一方で新方針に賛同する声も国内では強い。背景にあるのは、性の多様性を尊重するが故にここ数年で表面化した弊害だ。例えば、誰もが使える公衆トイレを推進するため、女性トイレをなくして男性トイレと共用トイレのみを設置した渋谷区の施策や、身体的には男性であるトランス女性が女子トイレに入ったり公衆浴場で女湯に入るといった問題は女性の人権を脅かしかねないことから、これまでも激しい論争が度々巻き起こってきた。性的マイノリティの人権を尊重した施策は、腫れ物を触るような姿勢が無意識に働いてしまうせいか”過剰な尊重”にもなりやすく、大多数側の人の声が軽視されたり、性的マイノリティ以外のマイノリティグループとの不公平を生み出したり、時には他の属性を危険にさらすといった側面があった。

そうした問題を指摘する声や不満は、性的マイノリティに着目した国・企業の取り組みが国内で本格化した2020年以降から徐々に大きくなっていた。だがDEIが社会トレンドとなる中、ともすれば「差別主義者だ」とも受け取られかねないことから疑問を公然と示すのは難しく、多数派の人が少数派を尊重しながらも声をひそめざるをえないという、いびつな構図を生み出した。そんな矢先でのトランプ大統領による明言。

その発言が各メディアで報じられると、ネット上には米国の新方針に賛同するコメントが数多く並んだ。これらは決して、性的マイノリティへの忌避感を露わにしたり、多様な性に対する差別的なコメントではなく、あくまで昨今のジェンダー施策による弊害を突いたもので、コメントに対し共感のサインも数多く示された。賛同派の全体的な論調としては、「生物学的性差は2つであることと性自認の尊重は、分けて考えるべき」「性的マイノリティを差別はしないが、過剰な特別扱いもしない」など、生物学的性差と性自認の切り分けの必要性を訴えるものや、「性的マイノリティを特別視しすぎることで、大多数側の人権が脅かされるのはおかしい」など、性の多様性を尊重することによる弊害を指摘するものが目立つ。

 

・性別は男女のみで間違いないと思う。同性愛などを否定している訳ではない。染色体で性別を分けているだけ。スポーツにおいて女性を守るというトランプの考えは正しいと思う。少数派の意見も大切ではあるが、必ずしも意見が通る訳ではない。多数派の意見を無視するのが多様性とは思わない。

・「性別は男女の2つだけ」→当たり前のことだと思う。手術もなしに生物学的男性に女子トイレの使用を許可するなどあってはならない。日本も早くそちら方向へ舵を切って欲しい。

・日本ではそれほど極端な政策は取られていないが、トランプの政策で日本も差別が助長されるというような議論がよく分からない。差別はしないが過剰な特別扱いもしないということではいけないのか? それとも優遇するようなことを続けないと差別が助長されると言うのだろうか?

・社会的には性別は男女はそれはそうでしょ。トイレとか公共施設で男女で分かれているものは一緒にするべきではないし、時に性犯罪を助長するような極端な政策は女性の人権を脅かしているわけですから。そういう流れに一石を投じる意味では良いと思います。

・表現や存在の自由まで奪ってるわけじゃないし、性別に限らず名前だってハンドル名や芸名を名乗ってもいいし、他人を害することをしなければ何も問題はない。逆に容姿もそのまま手術もしてない人が心の自由で行動を自由にするのは他人に著しい害を与えることになるのは目に見えている。

・もし自分がアメリカでの貧困層の立場だったら、ジェンダーや多様性は全く大事ではないとは言わずとも、例えばLGBTがどのトイレを使うべきなんて議論は心底どうでもいいし、明日の衣食住のことの方がずっと大事だと考える

・多様性を尊重するのは理解できるとしても、一般市民の安全や生活までも脅かしてまですべき事なのか?

・少数の人たちに対して優先的に配慮することが、一般市民に対する逆差別になっている現状は本来の民主主義とは違うと思う。

・現状、トランスジェンダーの人権を拡大するために、トランスジェンダーではない人たちの人権を制限してしまっているのですから、人権擁護という点ではどっちもどっちでしょう

・混乱の原因は「性」の問題が人権の問題にすり替えられたこと、「性」の問題は人権の一部ではあるが、人権そのものではないのだが

・戸籍上は(性別の)変更は可能だが、トイレや風呂、スポーツ等は生まれながらの身体的特徴を優先させる、でよいでしょう。さらに個別ケースではそれぞれ議論すればよいだけで、そのことはトランプ大統領も決して否定はしていません。男性でも女性でもないⅩという男女のいいとこ取りできる存在を否定しているだけです。

引用:Yahoo!ニュース「トランプ大統領「性別は男女の2つだけ」発言に賛否 反DEIは時代に逆行か「人権を擁護するのは国家。責任を放棄している」」

 

ここ5年ほどでジェンダー施策が官民で急速に進められてきたが、どうやら、性的マイノリティーへの配慮が気付かぬうちに過剰になりがちであることや、大多数側にいる人との公平感を飛び越えて、もはや特別扱いになりやすいこと、そして、過剰な尊重や特別扱いが返って社会の不公平を助長したり危険を生み出している側面にも、しっかり直視すべき時がきたようだ。

そもそも真のDEIが目指すのは、一人一人がお互いを認め合い納得できる公平な社会の構築。昨今はDEIというと性的マイノリティに着目した議論ばかりが目立つが、本来は、障害や病気と共生する人、ビジネスケアラー、居住地域や経済面から社会的資源や情報にアクセスできない人など、マイノリティーには多様な属性が存在する。DEI推進にあたって、配慮の対象とすべきマイノリティは他にも存在していることに十分に気づけると、結果的に、性的マイノリティを含めあらゆる属性の人が公平を感じることができる施策を講じられるはずだ。DEIは一属性を過剰に特別扱いしすぎたり、それにより他の属性が何かを犠牲にすることで実現するものでもない。

DEI推進のあり方やそれによる社会システムの構築は、今後も世界的なアジェンダとなっていきそうだ。今後の各国のジェンダー施策に要注目。

 

 

 

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