便利だけど危険なセルフエステ、女性に大人気も問題点が露呈
国民生活センターは今月13日、セルフエステによる危害の相談が増えていることを背景に、消費者に向けてセルフエステの利用に注意を呼びかけた。
セルフエステとは
セルフエステとは、エステサロンで使われている機器を店舗内で消費者自らが操作して利用するサービス。店舗側が提供するのは、セルフエステができる空間(個室)とエステ機器。店舗によってまちまちだが、痩身・脱毛・美肌・リフトアップ・歯のホワイトニングなど、一般的なエステサロンが提供しているメニューと変わらないマシンを揃える。
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増える参入企業
店舗側は利用者に使い方を説明するだけなので、施術者を雇用・育成する必要もなければ、店舗内に常時一定の施術者を揃える必要もない。人手不足に悩まされることなく効率よく利益を上げられるとして、この1年で参入する企業が続々と増えている。最近だと、賃貸情報のCHINTAIが女性専用セルフエステ&ジム「ビューティシェアリング」をオープン、RIZAPの女性専用ジム「ライザップウーマン」の新店舗(池袋西口店)がセルフエステマシンの導入を開始した。
一方で利用者側は、自宅用の美容家電よりも高い効果を見込める業務用機器を低価格で自由に使えることがメリット。施術者に顔や体を見られる・触られる多少のストレスもなければ、スタッフの過剰な接客や微妙に会話をしなくてはいけない空気に気をつかう必要もない。自分の気になる箇所に集中的に機器をあてることができるのも嬉しい。特に若い女性の間で人気を集めているのは、全国に26店舗を展開する自分deエステ。月額料金は時間帯や滞在時間によって異なり、5,980円(45分)〜11,800円(75分)で5プランから選べる。
セルフエステならではの問題点が浮上
このように店舗側も利用者も双方にとってメリットのあるセルフエステだが、利用者も参入企業も増えてきた今、セルフエステならではの問題点が浮上してきた。国民生活センターの発表によると、全国の消費生活センターに寄せられたセルフエステに関する相談件数は2018年より増えており、2019年は52件。うち13件は、セルフエステの機器利用により危害が生じたというもの。リフトアップ効果が高いと女性の間で大人気のHIHUをセルフで利用したところ、唇の神経を損傷したという事例や、顎の神経が麻痺したかもしれないという事例も。前者は、神経内科医による診察で「全治何カ月かは不明だが年単位かもしれない」と言われたとのこと。セルフエステで危害を受けた全ての女性が消費生活センターに報告されているとは考えられないので、実際にはもっと多くの女性が何らかの危害を受けている可能性がある。
セルフエステは自宅用機器とは異なりパワーが大きいので使い方を誤ると危険だ。店舗側は利用者に事前にしっかりレクチャーをする体制を敷いているが、全利用者を常にチェックしているわけではないのでトラブルはどうしても起きてしまう。継続しやすい価格帯や高い利便性が女性たちに受けセルフエステ市場は今後拡大していく気配だが、「セルフエステは危険」というイメージがつきまとう可能性も否定できない。業界イメージが低下する前に、”施術者による施術”と変わらない安全性を確保できる体制づくりが求められる。
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