シャワーヘッドは病原菌の温床の恐れ

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シャワーを浴びれば埃や病原菌を洗い流せると信じている人は多いだろう。ところが、シャワーヘッドには病原菌が潜んでおり、それを身体に浴びることで肺の感染症を発症してしまう可能性があることが、米コロラド大学のMatthew Gebert氏らが実施した研究で示された。この研究結果は「mBio」10月30日オンライン版に発表された。

Gebert氏らは今回、米国や欧州における656家庭で使用されているシャワーヘッドを調べた。その結果、各家庭のシャワーヘッドには大量の細菌が見つかったが、その種類は地域や水質、水源によって異なっていた。また、塩素系消毒剤で消毒した水を使用する家庭では、特定の細菌の濃度が高いことも分かったという。

さらに、シャワーヘッドに抗酸菌(マイコバクテリウム属)という細菌が大量に見つかった米国や欧州の一部地域では、抗酸菌が肺に感染して起こる肺非結核性抗酸菌症患者が多いことが明らかになった。なお、米国では南カリフォルニアやフロリダ、ニューヨークがそのような地域に含まれていた。

これらの結果から、Gebert氏は「私たちが生活している環境は菌にまみれているが、中でもシャワーヘッドに存在する細菌には地理的な特徴がみられた。また、シャワーヘッドに細菌が存在するかどうかには水源や水質も関わっていることが分かった」と述べている。

細菌はシャワーヘッドや配水システムの中で繁殖する。そのほとんどはヒトに無害だが、一部の細菌は肺感染症の原因になる場合があるという。ただし、Gebert氏は「自分の家のシャワーヘッドに抗酸菌が存在していても、病気になったり肺感染症を発症しやすいわけではない」と強調し、シャワーヘッドを毎日掃除したり、シャワー習慣を変えたりする必要はないと話している。また、抗酸菌の感染源を明らかにすることは重要だが、「研究者の間でも、肺感染症の感染経路がシャワーなのか否かは断定できていない」としている。

専門家の一人で米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センター内科教授のMarc Siegel氏によると、細菌はシャワーヘッドのような湿った環境で繁殖しやすいという。同氏は「この報告によれば、シャワーヘッドを掃除する必要があるが、実際には、極端に免疫力が低下している人や慢性疾患の患者などを除けば、抗酸菌に曝露しても病気になることはほとんどない」と説明している。

Siegel氏は、シャワーヘッドを掃除する際には、アンモニアを含有する消毒剤を用いて1~2週間に1回程度行うことを勧めている。また、細菌はシャワーヘッドだけでなく歯ブラシやシンクなど湿った場所であればどこでも存在する可能性があるとしている。(HealthDay News 2018年11月7日)Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.

 

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