英最高裁「法が定める女性は生物学上の女性、トランスジェンダーは含まない」 

英国の最高裁は今月16日、法律が定める「女性」は生物学上の女性のみで、トランスジェンダーを含まないとする判断を示した。各国のメディアが報じた。

朝日新聞によると、訴訟はトランスジェンダーに批判的なスコットランドの女性団体が、スコットランド自治政府を相手に起こしたもので、性別による差別禁止を定めた平等法において、生物学上では男性だが自身の性自認は「女性」であるトランス女性が、「女性」として保護対象になるかどうかが争点だった。

米メディアのCNNによると、原告の女性団体は、法律上の定義を生物学的な性別と結び付けなければ、更衣室や宿泊施設といった性別ごとのサービスに悪影響が及ぶと訴えていた。判決では、「『性別』を認定された性別と解釈すれば、『男性』『女性』の定義、さらには保護されるべき性別の特性にも影響が及び、一貫性が失われる」との指摘がされ、「トランスジェンダー女性を更衣室などの同性施設から排除できる」と言い添えたという。

英メディアThe Guardianは、「女性の権利とトランスジェンダーの権利の衝突に関する問題は、政治家や政策立案者らの中で、近年の難題になっていた」。また、「法廷闘争はスコットランドで始まったものだが、イングランド、スコットランド、ウェールズ全土における男女別空間やサービスの運営方法に大きな影響を与えるだろう」と指摘している。判決について最高裁は、平等法はトランスジェンダーの人々に対する差別も禁じていると補足しているが、トランスジェンダーの支援団体は、判決が及ぼす影響に懸念を抱き反発しているという。

今年2月には、米トランプ大統領がDEI政策を撤廃し、「性別は男女の2つだけ」との発言が世界的な物議を醸した。ようやく広まりつつあるDEIの世界的な流れにブレーキがかかるのではと、今後の行方を危惧する指摘もある一方で、トランスジェンダー女性とのスポーツを強いられたきた女性アスリートなどをはじめ、多くの女性が賛同を示した。トランスジェンダーに関する権利拡大の流れに対し、今後さらなる揺り戻しが世界的に加速しそうだ。

 

 

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