高脂肪食で記憶力が低下、アルツハイマー予防・治療の手がかりに 千葉大学
千葉大学大学院の研究グループは、高脂肪食の摂取が、脳の神経細胞において不要なタンパク質を分解・再利用する仕組みであるオートファジーなどの機能低下を招き、記憶能を低下させることを明らかにした。研究成果は、今年8月に国際学術誌「PLOS Genetics」に掲載された。
近年、食生活の変化による高脂肪食の増加で、肥満や糖尿病だけでなく認知機能の低下との関連が注目されている。特にアルツハイマー病などの神経変性疾患では、食事由来の代謝ストレスが発症や進行に関与することが示されていた。しかし、高脂肪食が記憶形成に与える影響は未解明だった。
研究では、遺伝学的操作と記憶評価が容易とされるショウジョウバエに高脂肪食を7日間与え、記憶機能への影響を調べた。その結果、短期記憶に変化は見られなかったが、中長期の記憶に低下が見られた。また、高脂肪食の影響でオートファジー活性が低下し、神経細胞内では分解対象であるタンパク質の蓄積が見られた。さらに、遺伝学的操作によるオートファジー活性化で、高脂肪食の摂取によって起きた記憶低下が回復可能であることも示された。
研究成果について研究グループは、「食習慣が脳の働きに与える影響を理解するうえで重要な知見」とした上で、「今後は、オートファジー経路を標的とした介入が、記憶障害やアルツハイマー病などの神経変性疾患に対する予防・治療に繋がることが期待される」とコメントしている。
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