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産後うつの兆候を早期発見へ、唾液スクリーニングで「こころの不調」を可視化 金沢大学

金沢大学の南香奈助教らの研究グループは、乳児からの刺激による唾液中のオキシトシンの反応が、母親の産後うつや不安と有意に関連していることを明らかにした。研究成果は2025年に国際学術誌『Frontiers in Endocrinology』に掲載された。

産後うつは母親の約10~20%に発症し、抑うつや不安、睡眠障害などが長引くことで、育児や子どもの健康にも影響を及ぼすことが知られている。日本では約90%の自治体がエジンバラ産後うつ自己評価票という質問票を使ってスクリーニングを行っており、9点以上が産後うつの目安とされている。一方で、9点未満の母親のメンタル不調は見逃されやすいことが指摘されており、新たな評価法の必要性が高まっていた。

これまでの研究では、「幸せホルモン」とも言われるオキシトシン量と産後うつの関連が報告されているが、母親が乳児と接する際の心理的刺激に対するオキシトシンの反応性に着目した十分な知見はなかった。そこで研究グループは、乳児に関連した刺激による母親のオキシトシンの分泌反応と、メンタルヘルスとの関連を検証した。研究は、産後1年以内の産後うつの診断を受けていない母親61名を対象に実施。授乳や子どもとの触れ合い、子どもの動画視聴といった乳児関連刺激に対する、唾液オキシトシン濃度の変化と産後うつや不安との関連を調査した。

その結果、エジンバラ産後うつ自己評価票が5点未満の母親では、授乳中に唾液オキシトシン濃度が有意に上昇したのに対し、5点以上の母親では有意な濃度変化が認められなかった。また、オキシトシン反応性の低さは、子どもとの触れ合いや動画視聴時においても同様に確認された。このことから、評価票の点数が9点に達する前段階でも、内分泌機能の変調が生じている可能性が示唆された。

研究グループは、「唾液オキシトシンの反応性は、目に見えない産後のこころの不調を可視化する手がかりになる」とコメント。「将来的には、自宅で採取できる唾液サンプルを用いたスクリーニングにより、母親自身が早期に不調に気付き、必要な支援につながることが期待される」としている。

 

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