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産後女性のうつ症状、腸内細菌叢と食習慣に関連 京大

京都大学の明和政子教授らの研究グループが、産後女性に多く見られるうつ症状が腸内細菌叢や食生活習慣と関連していることを明らかにした。研究成果は今月2日に、国際学術誌「PNAS Nexus」に掲載された。

産後うつの症状は25〜30%の女性にみられ、周産期に限らず4〜5年と長期間続く場合もある。これまでの研究では、うつ病患者の腸内細菌叢の多様性や組成が健常者と異なることや、野菜や果物、魚の摂取を中心とする食習慣がうつ病の緩和に関連する可能性が報告されている。だが、産後女性を対象とした研究は世界的に少なく、特に未診断・未治療の段階での早期発見や重症化予防を目的とした研究は行われていなかった。

そこで研究グループは、0~4歳の乳幼児を養育中で、精神疾患や身体疾患の臨床診断を受けていない女性344名を対象に、うつ症状と腸内細菌叢、食生活の関連を検証。その結果、48人(13.95%)がうつ病リスクが高い状態にあり、うつ症状が強い女性ほど腸内細菌叢の多様性が低く、特に短鎖脂肪酸の一種である酪酸を産生する菌が少ない傾向があった。また食事パターンを調べたところ、野菜や肉、魚だけでなく、大豆食品や発酵食品、海藻やきのこなどを積極的に摂取することが、産後女性のうつ気分や身体症状の緩和、腸内細菌叢の健康な状態維持に寄与する可能性が示された。

成果を踏まえ研究グループは、「腸内細菌叢が、産後のうつ症状の程度に関連していることが示された点は極めて重要」とコメント。また、「高品質で健康的な日本人の食事パターンの中でも、野菜、肉、魚だけでなく、大豆、発酵食品、海藻、きのこなどを積極的に摂取することは、日本人の産後女性の心身の健康増進や心身症予防に有効である可能性がある」と考察している。今後は、大規模な母集団での縦断・介入研究を実施することで、食事パターンや腸内細菌叢の改善がうつ症状の緩和や身体症状の改善に寄与する因果性の検証を行いたいとしている。

 

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