難病・希少疾患の課題「産・学・患」の共創で克服へ 製薬協など3団体が提言
日本製薬工業協会(製薬協)、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)、日本希少疾患コンソーシアム(RDCJ)は、医療従事者への調査結果を踏まえた難病・希少疾患に関する提言をまとめた。疾患啓発・情報提供の強化、新生児マススクリーニングの拡充、治療薬の研究開発加速を三本柱に据え、製薬企業だけでなく行政・学会・患者団体など多様な関係者による「共創」で課題解決を目指す方針を打ち出した。
提言は今年1月に発表した。土台となったのは、2024年に3団体が協働で実施した医療従事者327人への定量調査と15件の定性調査。半数以上が「希少疾患の認知・理解を深める機会が限られている」と回答した。51.6%が「早期診断体制の整備が遅れている」と答え、治験の被験者確保が困難だとする声も55.7%に上った。
世界では6千超の希少疾患が確認され、患者は推定3億人。日本では指定難病348疾患に医療費助成があるが、95%の希少疾患に治療の選択肢がないとされる。欧米で承認済みの薬が日本では開発に着手されないまま取り残される「ドラッグ・ロス」も深刻で、その多くが希少疾患向けだ。
提言では、製薬企業による治験情報の発信拡充や、国の臨床試験登録システム「jRCT」の検索性向上、国の研究機関が25年7月に開設した「難病治験ウェブ」の改修推進を掲げた。薬価制度については、革新的新薬の価値を適切に評価する新たな仕組みの導入や、特許期間中の薬価維持を求めた。
IRUDは全国535施設で未診断患者の遺伝子解析に取り組み、診断率48.1%の成果を上げている。RDCJは産業界・患者・学術界・行政・市民の5者が協力する「共創の場」として24年に正式発足。患者がたった一人でも個別に治療薬開発を目指す「N-of-1創薬」の推進や、専門人材の育成プログラム整備も提言に盛り込まれた。
提言は患者家族の視点にも踏み込み、経済的負担の軽減や、介護する家族が一時的に休息できるレスパイトケアの充実、同じ境遇の当事者同士が支え合うピアサポート体制の構築を訴えた。製薬協は「患者や家族が安心して生活できる社会の実現に向け、さまざまな関係者と協働して課題解決に取り組む」との姿勢を示した。
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