子どもの自殺相談、8割が女子 家庭・学校の問題が発端、信頼関係が危機を抑える鍵に こども家庭庁調査
こども家庭庁は、悩みを抱える子どもたちのインターネット相談やオンライン掲示板への投稿を分析した「こどもの自殺の多角的な要因分析に関する調査研究」の2025年度報告書を公表した。18歳以下の相談者644人のメール記録を分析した結果、子どもの自殺危機は「家庭・学校の環境問題」から「精神的不調」を経て「切迫した苦痛と自殺の行動化」へと段階的に進行するプロセスが示された。相談者の8割を女子が占めており、深刻な状況にある子どもの中でも女子の割合が高い現状を反映している。報告書はこうした知見を踏まえ、危機の上流にある要因の早期把握と、自殺への移行を食い止める力となる日常的な人間関係や将来への希望を育てる支援設計を提言している。
■環境から内面へ、段階的に深まる危機
警察庁の自殺統計に基づく小中高生の自殺者は、2025年に538人と過去最多を記録。こうした深刻な状況への対応が調査の背景にある。分析対象は、自殺予防のためのインターネット相談支援に取り組むNPO法人OVAが20〜25年度に実施した相談の利用者で、相談者の84.0%が女子、11.6%が男子だった。相談者全体の約半数(49.8%)がこれまでに自殺を試みた経験を持ち、過去1カ月間の気持ちの落ち込みや不安感などを尋ねる質問票では、全体の84.2%が精神科的な治療が必要とされる水準に該当した。支援の届きにくい深刻な状況にある子どもたちが多く含まれるデータといえる。
問題が現れた順番を相談メールから分析すると、危機の初期段階には「虐待・暴力」「経済的困窮や家族間の不和など家族機能の問題」「学校での人間関係」といった環境上の問題が現れ、中期に「精神的不調」「自分を否定的にとらえる考え方」が続き、直前期に「死にたいという気持ち」や自傷行為などが高まるパターンが確認された。最もリスクの高い「自殺の行動化(自殺未遂・自殺への準備)」と同時に現れやすい問題を調べると、「虐待・暴力」「家族機能の問題」などとの結びつきが強いことが示された。
■年齢層で異なる危機の色
中学生相当(11〜15歳)では「学校での人間関係」が問題になりやすく、他者に助けを求める困難さも統計的に確認された。報告書は、助けを求められないまま危機が高まりやすい可能性があると考察している。高校生相当(16〜18歳)では「家庭・学校以外での悩み」が増加し、受験・進路などによる多忙さも目立った。
■日常の信頼関係が危機を抑える
同調査では、危機を高める要因とは別に、危機を和らげる要因についても分析した。死にたい気持ちが比較的低い層には「家族との円滑なコミュニケーション」「学友・教師との信頼関係」「将来への希望・人生の有意味感」といった要因が多く確認された。相談を通じて気持ちの変化や援助を求める行動が確認された事例でも、こうした要因を持つ割合が高いことがデータからも裏付けられた。報告書は、危険な状態につながる要因を減らすだけでなく、子どもが周囲との信頼関係や将来への希望を持てるよう日常的に働きかけることが、自殺対策の中核となり得ると指摘している。
また、悩みを抱える子どもたちのための匿名オンライン掲示板「gedokun」の利用者約2万2千人を対象とした分析では、利用者全体の91.9%が「否定的な感情の吐露」を目的に使っていることが分かった。報告書は掲示板が専門相談とは異なる「共感・存在の肯定を求める場」として機能していると整理し、オンライン空間を早期把握と支援提供のインフラと位置付けるよう求めている。
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