がん政策、女性の態度留保目立つ 日本医療政策機構が全国1万人調査
がん対策基本法の成立から20年を迎え、民間の医療政策シンクタンク・日本医療政策機構(HGPI)が全国1万人を対象に意識調査を実施し、結果に基づく政策提言をまとめた。医療機能の集約化や公的保険の方向性といったがん医療の政策課題に対し、女性の「分からない/回答しない」の比率が男性を上回る傾向が明らかになった。国の制度設計に直結するテーマで、女性に十分な判断材料が届いていない可能性が浮かんだ。
日本のがん医療は、全国どこでも一定水準の治療を受けられる「均てん化」を基本方針としてきたが、人口減少や医療従事者の不足を背景に、高度な手術や放射線治療を専門病院に集める「集約化」へとかじが切られつつある。集約化への賛否では、賛成の合計は女性43.0%に対し男性50.8%と女性が7.8ポイント低く、女性の「分からない」は34.1%で男性の29.0%を上回った。公的保険の範囲を巡り、負担増でも幅広い治療をカバーすべきか、負担を抑えて対象に優先度を設けるべきかを問う設問でも、女性は「どちらともいえない」が39.3%と男性の35.7%を上回った。がんゲノム医療の認知率も男性43.1%に対し女性37.8%で、5ポイント以上の差がついた。
一方で、がん検診制度の仕組みへの認知では女性が男性を上回った。住民検診と職域検診の両方を知っている割合は女性43.4%、男性32.4%で約11ポイントの差がある。報告書は、女性は職域検診に加えて市区町村からの乳がん・子宮頸がん検診の案内にも接する機会があるのに対し、男性は検診との接点が職域中心にとどまりやすく、女性のほうが両方の仕組みを認知しやすい構造にあるとみている。
検診の認知では先行する女性が、治療や制度に関する政策的な問いになると判断を留保する傾向が強い。報告書は、世代の特性に応じた段階的な情報提供や、診断直後に情報と支援が届くプッシュ型の体制整備などを提言した。がん医療の将来像を巡る議論に、より多くの人が参加できる環境づくりが問われている。
調査は今年2月、全国の20歳以上の男女を対象にインターネットで実施した。
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