食品ロス 企業の取り組み事例
クックパッドが食トレンドキーワードとして予測している1つが、「生活者の間でフードロス(食品ロス)への関心が高まる」こと。世界的な食トレンドとしても注目されている食品ロス。各人気女性誌は「もったいない意識」を感化させる商品を取り上げ、最近では食品ロスに貢献しながらお得を得られるフードシァエリングサービスも注目を集めている。SDGsが生活者の間でも浸透し始めている昨今、食品ロス意識が浸透し始めていて、企業各社も食品ロス改善のための取り組みに力を入れる。
食品ロス、企業の取り組み
一般社団法人日本有機資源協会は、第5回「食品産業もったいない大賞」の農林水産大臣賞、食料産業局長賞など各賞の受賞者を発表した。これは、食品産業の持続可能な発展に向け「エネルギー・CO2削減」「廃棄量削減・再生利用」「教育・普及」などに取り組む企業、団体、個人を表彰する制度。5回目となる今回は「農林水産大臣賞」にユニーが、「農林水産省食料産業局長賞」に三菱食品などが、「食品産業もったいない大賞審査委員会委員長賞」に日本マクドナルドや森永乳業が選定された。各社は、規格外の農作物の有効活用や地域の原材料使用の推進、独自の技術開発で廃棄物を削減するなどして、食品ロスの減少に繋げている。
【森永乳業の例】
従来日持ちしなかった豆腐を独自の無菌充填により長期保存できる商品として開発したことにより、贈答品や災害時に備えた備蓄品、海外での販売など新たな市場を創造するとともに、廃棄ロスの減少に繋げている。また、製造時に出たおからを乳酸発酵しサイレージ飼料として商品化しており、東京工場では、この飼料を給与している酪農家からの乳を受け入れている。【北海道美幌高等学校の例】
町を元気にしたい」と願う高校生が、美幌町の特産品であるじゃがいもの規格外品などを有効活用するため、発酵乾燥飼料の開発・製造を行い、これを使用した養豚飼育体系を確立した。(略)生産した豚肉を用いた新商品を開発し、地元飲食店でのメニュー化を進めている。
【株式会社マツザワの例】
これまで廃棄されていた摘果りんごを地域のお土産菓子に利用して生産及び販売をしている。
(引用:一般社団法人日本有機資源協会)
人気女性誌も注目、ワケありりんごの活用
20代〜30代女性の働く女性を中心に読まれているライフスタイル情報誌an・an(マガジンハウス)が開催した「カラダにいいもの大賞2017」に選ばれた、ワタスイ(福島・須賀川)の「ご縁りんご」は、本来であれば廃棄処分される規格外のりんごをドライフルーツにしたもの。独特の食感や味が人気で、商品パッケージやホームページのデザインがおしゃれでギフトにも向いていること、国産果物を使っていること、砂糖不使用・無添加・無着色・無香料、酸化防止剤・漂白剤不使用などの安心・安全面なども女性に嬉しいポイントだが、アンアンが一押ししているのは、傷がついていたり形が不揃いなどのワケありのりんごを活用している点。
同社はワケありりんごを使用していることを隠さずホームページのトップで大きく紹介している。日常的に食材の買い物・料理・冷蔵庫内の食品管理をする女性は、男性よりも節約意識やもったいない意識が強い。そんな女性たちにとって「規格外だからと言って食材を廃棄するのはもったいない」という意識は強く、「規格外のりんごを有効活用してドライフルーツを作っている」ことは大きな共感要素になる。
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消費者庁の調べでは、ロス問題を知っている人は6割、さらに食品ロス問題に取り組む人も6割と半数を超え、今や多くの生活者がこの問題を意識している様子がうかがえる。「美味しい」だけでなく、「美容や健康に良い」だけでもなく、さらに「フードロスに貢献」もする3拍子揃った商品が、女性たちの新たな「購入基準」になり、さらにはおしゃれなライフスタイルとして定着していきそうだ。
食品ロス問題に気軽に貢献 フードシェアリング
TABETEは、まだ安全に美味しく食べられるのに閉店時間や予約キャンセルで仕方なく廃棄しなければならない食事を「誰かに食べてほしい」と考える飲食店と、「廃棄直前でも、美味しく・安く食べられるならそれでOK!食べたい(買いたい)!」と考えるユーザーをつなげるサービス。食品ロス削減を目指すコークッキング(山梨・富士吉田)が昨年夏に実験運用を開始し、2018年中に正式リリースする予定。
海外では飲食店の残り物をシェアする人気アプリもすでに登場しており、国内にもその流れはやってきそうだ。C to C経済の拡大、シェアサイクリングの広まり、カーシェアリング人気、食品ロス削減意識の強まりなど、今は「皆でモノをシェアして無駄を省きたい」「無駄にモノを持ちすぎたくない」「地球に社会に良いことをしたい」意識が国内外で強まっている。フードシェアリングもその1つ。「まだ食べられるのにもったいない!」と考える社会派な女性も、「美味しいものをお得に食べたい」節約派女性も、どちらにも響く新概念だ。飲食店の残り物をシェアする動きはこれから急速に拡大しそうだ。
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