中国で広がる、生活者の「若者化」

経済成長の安定期に移行しかつての「爆買い」も落ち着きを見せ始め、少子高齢化が訪れ始めている中国。そんな社会環境の潮目の変化を迎えつつ、今幅広い年代で広がっている現象が「若者と同じように生活を楽しむ熱であふれる“若者化”」。博報堂生活綜研(上海)がそのように表現している。生活綜研の調査では以下が明らかになったという。

  • 若者が主役の世の中だと思うようになった(47%)
  • 若者の影響を受けるようになった(40%)
  • 中国の生活者が若者の影響を積極的に受け止めており、20歳~59歳の精神年齢が平均31.9歳と3カ国(中国、日本、米国)中、中国が最も若い

そこで生活綜研は「若者化」を「幅広い世代で生活を楽しむ熱を持つようになる現象」と定義した上で、熱中を求めて活動する生活者を「熱活族(ねっかつぞく)」と命名。自分自身の内面を成長させ続け、いつまでも若者のようであり続けようとする「熱活族」が、世代を超えて存在感を持つようになってきているという。近年は全世代で「若者化」が進み、中国の消費意欲や影響力において、年代による差がほとんど見られなくなり、熱中しているものの数が多い人ほど消費意欲や影響力が高いことが明らかになっているとのこと。

生活綜研は、熱活族を「続熱」「集熱」「増熱」「伝熱」の4タイプに分類している。

熱活族

出典:博報堂

【「続熱」欲求を捉える方法】
生活者の商品やサービスへの熱中を習慣化する“Habit”活動。ある中国のドローンメーカーは、プロモーションなどで購買を促進するのではなく、動画プラットフォームを作ってドローン撮影の利用を促進する方法で、生活者との持続的な絆を築くことに成功しています。

【「集熱」欲求を捉える方法】
商品やサービスを通じた出会いを促進する“Encounter”活動。ある中国の旅行サイトでは、コアユーザーに閉じたユーザー交流ではなく、一般ユーザーに開かれたオープンなユーザーとの交流を行い、生活者との持続的な絆を築くことに成功しています。

【「増熱」欲求を捉える方法】
生活者に多様な熱中を提供する“Add”活動。ある中国のホテルチェーンでは、高品質で標準化されたサービスの提供にとどまらず、読書イベントやアンバサダーによる地域情報紹介など、各地域の多様な楽しみを提供し、生活者との持続的な絆を築くことに成功しています。

【「伝熱」欲求を捉える方法】
生活者に対してユーザー発のブランド活動を支援する“Tell”活動。ある英会話スクールでは、本業の英会話サービスに加えて、個人のスキルや趣味を活かしたユーザーセミナーを推進して個人のやりたいことを支援し、生活者との持続的な絆を築くことに成功しています。

 

生活綜研は、中国伝媒大学広告学院と共同研究を行い、今回の研究成果を北京で今月発表した。

 

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