何がインプラント失敗を招くのか?絶えないトラブル報告(3/3)
歯科医が公開、実際に起きたインプラントの失敗例と要因
インプラント治療の成功率は比較的高いとされているが、失敗する原因は幅広い。啓発のため、実際の失敗例をその要因とともに公開しているホームページ(歯科医が運営)がある。
インプラントに失敗する主な原因
- ①インプラントを埋入する位置や深さが適切ではない
・顎の骨へのドリリングがうまくできていない
・インプラントと骨が結合しない
・軟組織(歯肉)不足 - ②インプラントが細菌に感染する
・患者によるメンテナンス不足
・治療を行う環境の衛生管理が十分でない
・インプラント治療前に歯周病治療を行わなかった - ③人工歯(上部構造)が外れる、破損してしまう
・咬みあわせの調整が不適切
・インプラントと人工歯を連結するアバットメントの締め付けが緩い
インプラントの失敗例と理由、歯科医がHP上で公開
「歯科口腔外科塾」では、患者の知識の向上を目指し、インプラント治療の失敗実例を写真付きで公開。サイト運営者は東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニックで院長を務める、新谷悟氏。歯科医療従事者のよりよい治療に向けて、症例とともに“正しい知識”と“失敗の学び”を提供している。
インプラントの成功定義
何をもって「インプラントの成功」とするのか。その考え方は歯科医によってさまざまだが、1998 年のトロント会議では以下の4点が挙げられている。
①インプラントは、患者と歯科医師の両者が満足している。
②インプラントに痛み不快感、知覚の変化、感染の兆候がない。
③臨床的に診査するとき、個々の連結されていないインプラントは動揺がない。
④機能下1年以降の経年的なインプラント周囲の垂直的骨吸収は 0.2mm 以下である。
(引用:厚生労働省「歯科インプラント治療のための Q&A」)
インプラント治療におけるトラブルを減らすために
メリット・デメリットがあることは歯科医師の間でも認識され、国も患者に向けリスク周知に努めているインプラント治療だが、今なおトラブルが続いているのが現状。医師の技量・知識向上はもちろんのこと、患者側には慎重な検討の姿勢が求められる。双方がインプラント治療の万能性や危険性だけに目を向けるのではなく、事前準備やアフターケアを含めた一つの医療行為として取り組むことが大切だ。
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