“肺年齢” が生まれた理由は、年間死亡者数1.8万に上るCOPD(1/3)

2018年に改正健康増進法が成立し、東京五輪・パラリンピックを迎える2020年に向けて受動喫煙防止の義務化が決定した。電子たばこにも害はあるとWHOが2019年7月に発表しており、喫煙による健康リスクは多くの人の関心事となっている。同時に今注目を浴びているのが「肺年齢」。呼吸機能の状態を年齢で示す指標で、喫煙者や元喫煙者を呼吸器疾患から救う鍵となる概念だ。

肺年齢とは

概要

肺年齢とは日本呼吸器学会が考案した呼吸機能の指標。1秒間に吐く息の量(一秒量)から自分の呼吸機能の状態を実年齢や標準値と比較して、どの程度であるか確認するための目安として使われている。その測定は日本呼吸器学会・肺生理専門委員会が定義している式をもとに計算するが、性別でその計算式は異なる。

肺年齢を知るメリット

胸部レントゲン検査でも発見できなかったCOPDなど、呼吸器疾患の早期発見や予防が可能となる。COPDとは慢性閉塞性肺疾患の略称であり、長期の喫煙が主な原因とされている。慢性の呼吸不全とも成り得る病気だが初期症状が風邪に似た軽度のものであるため、発見しづらい現状にあった。

呼吸機能の特徴

呼吸機能は加齢に伴い低下する。長期間喫煙をしていたり呼吸器疾患を抱えていると、健常者よりも早く低下しやすい。肺の組織が壊れる肺気腫や、慢性的な咳や痰の症状が特徴の慢性気管支炎など、呼吸機能が低下するとCOPDと呼ばれる呼吸器疾患を引き起こす。一度壊れた肺の組織は元には戻らないため、禁煙などにより進行を遅らせるか、あるいは一刻も早い早期発見が重要となる。

肺年齢の考えが生まれた背景

肺年齢という考えが生まれた背景にはCOPDの啓発がある。COPDの早期発見・早期治療を目的として、広く一般に普及するために考案された。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは

COPDとは慢性気管支炎や肺気腫の総称で、大気汚染やタバコ煙などの有害物質を長期に吸入曝露することで起きる肺の炎症性疾患である。発症率は高く、喫煙者の5~6人に1人の数値となる15〜20%が発症する。肺の生活習慣病ともいわれ、中高年に多く発症する生活習慣病の一つとされている。人口動態調査(厚生労働省)によると2017年の国内のCOPD死亡者数は18,523人にのぼる。

COPDの症状

肺の炎症や気管支の萎縮が起こるため酸素が吸いにくくなる。初期症状は体を動かしたときの息切れや、咳、痰。重症化すると生活に支障をきたすほどの息切れの悪化がみられる。長期の喫煙歴に加えてこれらの症状が見受けられた場合はCOPDの疑いがある。COPDにより破壊された肺胞は治療をしても、二度と元に戻ることはない。参考:日本呼吸器学会「呼吸器の病気」

早期発見、早期治療が目的

COPDは自覚症状が出た時にはすでに病気が進行しているため早期対策が必要だが、肺機能を測定する肺機能検査(スパイロメトリー)の結果を一般の人が理解するのは難しく健康行動が起きづらい。そこで、わかりやすい言葉でCOPDを啓発するために、一般の人でもわかりやすい「肺年齢」という言葉が誕生した。実年齢と今の肺年齢の差を自覚させることで、早期治療への意識を高めることを目的としている。日本呼吸器学会 肺年齢普及推進事務局は、活用のための仕様書「肺年齢の利用について」を公開。日本呼吸器学会や、COPDの世界的啓発に取り組んでいるGOLDなどを初め、医療業界が一般生活者に向け肺年齢の普及に努めており、認知が広がっている。

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