月経・妊娠・子育て・更年期・高齢期の睡眠指針 「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 厚労省

厚労省は今月、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を公表した。2014年に「健康づくりのための睡眠指針2014」を策定して以降、約10年間にわたって睡眠に関するさまざまな取り組みが進められてきたものの、睡眠を十分にとれていない人が増加していることから、内容を見直した。改定のポイントは、「こども」「成人」「高齢者」「妊娠期」「子育て期」「更年期」と、属性ごとに睡眠時間や睡眠課題、対策などをまとめた点で、今年4月に始まる「健康日本 21(第三次)」で、ライフステージやライフコース別の健康目標に重点が置かれたコンセプトが反映された。

推奨睡眠時間

・小学生…9~12時間
・中高生…8~10時間
・成人…6時間以上
・高齢者…床上時間が8時間以上にならないこと

ライフステージ・ライフコース別の睡眠課題と対策

■月経期

・月経周期に関連した睡眠変化は多くの女性が経験する
・卵胞期と比べ黄体期では、睡眠が浅くなるとともに日中の眠気が強まる。特にPMSがある人に、より顕著に見られる
・月経で貯蔵鉄が少なくなると足のむずつきや不快感により寝つきが妨げられるため、鉄分の摂取が大切
・月経周期の記録など、睡眠変化が起こりやすい時期を把握することが、睡眠課題の解決に役立つ

■妊娠期

・約8割の妊婦は睡眠が不安定になり、昼間の眠気、疲労感、イライラ、集中力の低下を経験する
・眠りが浅くなり睡眠休養感が低下するため、妊娠前よりも睡眠時間が長くなる傾向がある
・睡眠の質低下は胎児の健康リスクとなるため、妊娠中の母親は十分な睡眠確保と睡眠障害の予防が大切
・妊娠初期は女性ホルモンが一時的に低下し妊娠周期が進むにつれて分泌量が増加するため、睡眠が妨げられる。また、つわりや妊娠に関する心配事も多く、不安・ストレスが睡眠に影響する
・妊娠中期は一時的に睡眠が安定するが、お腹が大きくなり胎動が増えると眠りが浅くなり、夜中に目覚めることが多くなる
・妊娠後期は足の不快感やこむらがえり、閉塞性睡眠時無呼吸が生じやすくなる

■子育て期

・夜泣きや授乳の対応で養育者の睡眠も細切れになりやすい
・養育者が睡眠を確保することは心身の健康のために重要
・特に著しい睡眠不足や夜間の中途覚醒が多い母親は、産後うつのリスクが高まる
・父親が育児に関わる時間は増加しており、こうした関与は母親の健康を守るだけでなく赤ちゃんにも有益

■更年期

・不眠症や閉塞性睡眠時無呼吸などのリスクが高まる
・ホットフラッシュが重いと、深い睡眠が妨げられやすく睡眠中に目が覚めやすい
・ホルモン補充療法は睡眠症状の軽減に役⽴つが、一部のがんや冠動脈疾患のリスクを高める懸念もある
・男性も更年期以降で睡眠障害が増加する
・男性ホルモンの減少は、うつ病の一因に。うつ病に伴って不眠症状が出現することもある

 

成人は6時間以上の睡眠が推奨されているが、実際に確保できているのは女性59.4%、男性62.5%で、男女ともに4割前後が6時間を切っている厚労省「令和元年 国民健康・栄養調査」。特に中年層で睡眠時間が短くなる傾向があり、女性は40~50代で、男性は30~50代で、6時間未満が4割を超える。OECD(経済協力開発機構,令和3年)の調査でも、日本人の平均睡眠時間は加盟33カ国の中で最も短かった。

 

 

 

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