「子どもに迷惑をかけたくない」現代シニア女性のニーズ捉える

シニア女性向けの人気ライフスタイル誌ハルメクは、「親の面倒は見るけど子どもには面倒をかけたくない」と考える現代のシニア女性のニーズを捉え、「入院・介護で子どもに迷惑をかけないために」をテーマに特集を組み、「もしも私が入院したら見てねノート」を別冊付録にし12月号を発売した。”病気や介護で子どもに迷惑をかけない” をテーマに扱った記事は、シニア世代の女性に向けた雑誌で最近よく見かける。

親にも子にも尽力する世代

今の60代〜70代女性は「親の介護や面倒を見るのは自分の役目」という意識が強く、80〜90代にあたる彼女たちの親もまた「介護が必要になったら子に見てもらう」という意識が強い。核家族化が進む以前に幼少時代を送り、一つ屋根の下で母親が祖父母の面倒を見るという光景を実生活で見てきたことや、結婚して専業主婦になる女性が多く”女性が家族の面倒を見るもの” という性別役割分業が色濃く残っていた時代背景が関係している。

一方で自分と子の関係においては「子どもに自分の介護をさせたくない」「介護が必要になったら自分で何とかする」「子どもに迷惑をかけたくない」と考える女性が多い。「自分が苦労してきたから子に同じような苦労をさせたくない」「今の子たちは共働きで忙しく経済状態も良くないから、負担をかけたくない」と考えているからだ。つまり、自分は親の介護をするけれども自分は子どもに介護をさせたくない。むしろ親の介護をしながら孫の世話をするなど子の家族をサポートしたり金銭的援助をしている。彼女たちは親にも子にも尽力している世代なのだ。

子どもに迷惑かけたくない、でも不安あり

60〜70代のシニア女性たちが上の世代にも下の世代にも尽力できるのは、夫の退職金や年金受給などで比較的安定した生活を送れるだけの基盤がある世代であることも関係しているが、とは言え、体力的ゆとりや精神的ゆとりが大きいわけではない。自分や夫が介護が必要になったり病気になった時にどのように生活していくのか?といった漠然とした健康不安は抱えている。特に人生100年時代と言われるようになった最近は、夫より長生きする可能性が高い妻側にその不安が膨らんでいる。

自分の親がそうだったように自分も自分の老後を子どもに見てもらうのであればさほどその不安は大きくならないが、彼女たちは自立した老後を希望しているがゆえに「何とかしないと…」と、不安が大きいのだ。

介護や病気の備えとして今から何をしておくべきか?といった情報をマスメディアなどをはじめさまざまな媒体から見聞きすることが増えたのは、シニア世代のそのようなニーズの変化を捉えていることが一因としてあげられるだろう。

「もしもノート」が人気

本号の付録「もしも私が入院したら見てねノート」を始め、家族に向けてお金のことや身の回りのことを記録する”もしも” に備えたノートが最近人気を集めているのも、家族思いの気持ちが一段と強い現代のシニア女性の気持ちを汲み取ったものだからと言える。

突然倒れて病院に運ばれたり入院した時に、お金はどうすればいいのか?通帳はどこにあるのか?家事はどうする?誰に連絡すればいい?保険は?どのような医療を受けたい?などを記せる。記入してこのノート1冊を手元に置いて家族に「何かあったらこのノートを見てね」と伝えておけば、いざ自分に何かあった時に必要以上に子どもや家族を困らせたり慌てさせることがない。学研プラスやコクヨも、もしもノートを発売中。

 

 

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