2021年上半期に売れた健康・美容アイテムは?ランキング発表を総ざらい

2021年も早半年が過ぎ、各所から上半期のヒット商品ランキングが発表された。各ランキングを見ると、やはりコロナ禍の生活・意識変化が反映されていることを読み取れるが、自粛生活2年目に突入した今年はちょっと変化が。昨年はよく売れていた感染対策商品が落ち着きを見せていたり、在宅ワークの定着や3密回避ゆえにヒットした商品などがランクインした。

本稿では各所が発表した上半期トレンドの中から、特にヘルスケア企業のビジネスパーソンが目を通しておきたいランキングをピックアップした。まずはこれだけでもチェックしておけば、コロナ禍でも微妙に進化している潮流をサクッと把握できる。今年後半〜来年のトレンド予測やマーケティング発想の参考にも。

10大ヒット商品(Yaho!ショッピング)

ヤフーからは、2021年上半期(2021年1月1日~6月15日)にYahoo!ショッピングで売れた「10大ヒット商品」が発表された。在宅ワークの定着や、コロナ感染対策を背景に伸びた商品などがランクインし、特にヘルスケア関連のアイテムが目立つ。では、ヒット商品を見てみよう。(  )内は取扱高前年比。

<ラベルレスペットボトル飲料(1,220%)

前年比で大きく伸長したのが、ラベルレスのペットボトル。追い風になったのは、在宅ワークで自宅での飲料ニーズが高まり通販でペットボトル飲料を購入する人が急増したこと。それに加えて、ラベルレスで分別の手間を省ける点が評価され、ラベルレスの売れ行きが伸びた。

<シャワーヘッド(350%)

巣ごもりが始まった昨年から、おうち美容が女性たちの間で広がったが、今年上半期で売れたのはシャワーヘッド。中でも売れたのは、肌に負担をかけない泡(ウルトラファインバブルとマイクロバブル)により、頭皮や肌の毛穴汚れを優しく洗い流すリファ・ファインバブル(株式会社MTG)

<大豆ミート(210%)

昨年よりトレンドフードとして注目が高まっている大豆ミート。今年はスーパーやコンビニなどでも手軽に入手できるようになったこともあり、一気に身近な存在に。Yahoo!ショッピングでも売れ行きは好調。自粛生活による運動不足やダイエットの意識から、カロリーの低い代替肉として利用が拡大していることも背景にありそうだ。

<ゴルフ用品(140%)

3密を避けられるスポーツとして、コロナ禍で人気が拡大しているのがゴルフ。その影響から、ゴルフ用品もヒットした。

<防災グッズ(160%)

自粛生活による買い物控えから、日持ちするレトルト食品が伸長。手軽に短時間で食べられることから、在宅ワークのランチ用としても人気に。今年は東日本大震災から10年という節目で、防災意識が高まっていることも影響。

<生ゴミ処理機(200%)

外食が減り自宅での食事が増えたことで、家庭ゴミが増加。匂い対策などから、自宅で簡単に処理できる生ゴミ処理機が売れた。

<他、巣ごもり時間を楽しむ各種アイテム>

他ヒットしたのは、巣ごもり時間を楽しむための以下エンタメ系アイテム。

  • ホームプロジェクター(150%)
  • Nintendo Switch(150%)
  • コミック全巻セット(140%)
  • エヴァゲリオンフィギュア(310%)

 

カテゴリー別ランキング(楽天市場)

楽天からは、カテゴリー別にトップ30をランキングした「楽天上半期ランキング」が発表された。ヘルスケアアイテムがランクインしている「美容・健康」「家電」「食品」「住まい・暮らし」「スポーツ」のカテゴリーは特に要チェック。コロナ禍を背景にしたおうち美容、衛生意識、自宅を快適にしたいニーズなどの影響が大きいのだろう、自宅用の衛生アイテム(空気清浄機・掃除機・布団乾燥機)、美容家電(脱毛器・ヘッドマッサージャー・頭や顔のリフトケア)、寝具アイテムなどが多くランクインした。

  • 美容・健康(ダイエット・健康/美容・コスメ/医薬品・介護・コンタクト)
  • 家電・エンタメ(家電/ホビー/本・雑誌・コミック/CD・DVDなど)
  • 食品(食品/スイーツ・お菓子/ソフトドリンクなど)
  • 住まい・暮らし(寝具/調理家電/日用品雑貨など)
  • スポーツ・車(スポーツ・アウトドア/車・バイク用品など)
  • ファッション(ファッション全般/下着・ナイトウェア/キッズ・ベビー・マタニティなど)

100万人が選んだ、美容流行語大賞(VOCE)

20〜30代女性を中心に愛読されている人気美容メディアのVOCE(講談社)は、ウェブサイト・Instagram・Twitterなどの各種SNSを通じ、約100万人へのアンケートを実施。その回答からAI技術で注目ワードを抽出し、ユーザーの支持が最も集中したものを、2021年上半期の「美容流行語大賞」に選出した。今年上半期の世相を表すワードが勢ぞろい。

  • 1位:NEOマスクメイク
  • 2位:シカコスメ(長引くマスク着用により、肌荒れが常態化。それをケアするために、肌荒れを鎮めるツボクサエキス入りのコスメ、通称“シカコスメ”に頼る人が急増)
  • 3位:ビタミンA(ビタミンA入りコスメはハリ・ツヤ効果を期待できる反面、“A反応”と呼ばれる乾燥・皮剥けが起こることもあり敬遠する人も多かった。しかし人とあまり会わなくなったコロナ禍で、多少の犠牲を払ってでも美肌を手に入れたいと考える人が増え、ビタミンA配合コスメに注目が集まった)
  • 4位:ジェンダーレスメイク(性別の垣根を超えたコスメブランドへの注目が上昇)
  • 5位:診断(タッチアップができないコロナ禍で、パーソナルカラー診断や骨格診断などの美容診断が人気に)
  • 6位:フェムテック
  • 7位:消えるパウダー(粉感のないパウダーが”消えるパウダー”としてSNSで話題になり人気に。例:THREE
  • 8位:頭皮ケア(マスク生活による顔のたるみケアのため)
  • 9位:ハイフ(たるみ治療ができる美容医療)
  • 10位:シェアドコスメ(カップルで共有できる化粧品)

上半期のベスコスアワード(アットコスメ)

カテゴリー別にヒットした美容商品をチェックするなら、アットコスメが毎年発表する恒例アワード「@cosme ベストコスメアワード上半期新作ベストコスメ」をチェック。@cosmeメンバーから寄せられたクチコミ投稿をベースに、今の生活者が支持している商品を表彰するアワードで、以下全41カテゴリーで、トップ3のランキングを発表。口コミも掲載しているので、ユーザーの評価ポイントも確認できる。

  • スキンケア(化粧水/美容液/乳液/シートマスク/アイケア/オイルなど)
  • ベースメイク(化粧下地/日焼け止め/ファンデ/フィックスミスト/コンシーラーなど)
  • メイクアップ(アイライナー/リップスティック/マスカラ/マルチパレットなど)
  • ボディ・ヘアケア(ボディケア/デオドラント/ハンドクリーム/ネイル/フレグランス/ヘアスタイリングなど)
  • ビューティグッズ(美容グッズ/美容家電/ハンドウォッシュなど)

なお、今年は昨年比23%でクチコミ投稿数が増加したとのこと。コロナ禍で気軽に店舗に買いに行けない、テスターで試せない、しかしEC購入で失敗もしたくないという状況で「購入するにあたって必要な情報を届けたい」という生活者同士の「助け合い」的な気持ちが、クチコミ投稿数を押し上げる一因になったという。他、詳細の考察は、アットコスメを運営するアイスタイルのHPに掲載。

 

売れた・売れなかった日用消費財(インテージ)

市場調査のインテージは、全国約6,000店舗から収集している小売店販売データをもとに、日用消費財の中で2021年上半期に「売れたもの」と「販売に苦戦したもの」、それぞれのランキングを発表した。

<売れたものランキング>

2021年上半期(1〜5月)に売れたものの金額前年比ランキングが、以下表。2020年の前年比ランキングでトップ3を占めていた感染対策アイテム「マスク」「うがい薬」「殺菌消毒剤」は、今年はランキング外に。代わって上位に入ったのが健康増進対策アイテムで、貧血や体力増強に良いことがSNSで話題になった「麦芽飲料(1位)」、女性を中心に購入が増えた「プロテイン粉末(2位)」。他、セルフケア関連の各種アイテムが並んだ。

【出典】インテージ

【出典】インテージ

<販売が苦戦したものランキング>

一方で、上半期で販売に苦戦したものランキングが以下表。前述の通り感染対策関連のアイテムは苦戦し、上位にランクイン。昨年はコロナ禍の混乱から起きた急激な需要増で買占めが起きたが、今年はその反動もあり落ち着いてきた様子。他、「口紅」や「ほお紅」といったマスクで隠れる部分の化粧品も苦戦した。

【出典】インテージ

【出典】インテージ

 

2021下半期はどうなる?

本稿の制作にあたり、ここでは取り上げなかった各所の上半期ランキングも編集部で一通り目通しをしたが、共通していたのは、昨年同様に今年上半期もコロナ禍ではあったものの、微妙にトレンドが変遷している様子をうかがえる内容であったこと。

昨年は新しい生活様式が始まり様々な場面で制限がかかったことで、あらゆることを”引き算”した我慢の1年となったが、今年上半期のトレンド発表からは、新しい生活様式を受容しながら、その中でできる範囲で楽しみを”足し算”していく人々の姿が浮かび上がった。

今年下半期以降はワクチン接種の広がりが後押しとなり、トレンドは勢いをつけて変化を見せそうだ。「コロナが落ち着いたらやってみたいこと」を聞いた各調査で必ず上位に入る「外食」「旅行」関連の需要が真っ先に回復すると考えられるので、このあたりでヒット商品が続く気配。

とは言え、引き続きコロナに対する警戒心は(これまでよりは落ち着くものの)続く見込みなので、衛生や感染対策と紐づけた新商品・サービスが注目を集めるはず。外食や旅行に出かける人が増えることを踏まえると、中でも特に、店舗・施設・公共交通機関などといった”空間”の衛生や感染対策関連のモノ・コトからヒットが生まれそうだ。

 

 

 

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