貧困女性の3人に2人が生理用品を購入できず、米調査

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米ミズーリ州セント・ルイスに住む約200人の貧困層の女性を対象とした調査から、約3人に2人(64%)が過去1年以内に1回以上、経済的な理由で生理用品を購入できなかったことが明らかになった。また、約5人に1人(21%)は生理用品を毎月買えず、約半数は食品と生理用品のどちらを買うべきか悩むことがあると回答していた。この調査結果は「Obstetrics & Gynecology」に掲載された。

調査を実施した米セント・ルイス大学のAnne Sebert Kuhlmann氏らは「月経衛生に適切に対処することは、決して贅沢なことではなく、全ての女性の基本的権利とみなされるべきだ。このような問題は女性が社会活動や経済活動に参加するのを妨げることにもつながる」と説明している。

また、Kuhlmann氏は、生理用ナプキンやタンポンが入手できない状況は、経済的に貧しい女性たちの健康にも悪影響を与える可能性があると強調する。さらに、同氏は「家庭にいる女性の数が多いと生理用品の購入費もかさみ、経済的な負担が重くなりやすい」と話している。

この問題は、女性の雇用にも影響している。今回の調査では、参加女性の36%が、生理用品が買えないことを理由に欠勤した経験があると回答していた。

今回の調査は、2017年7月~2018年3月に、セント・ルイスで低所得者向けの地域サービスを提供する10団体で募集した女性183人(18~69歳)を対象に実施された。その結果、多くの女性が数十年間にわたって生理用品を買えない状況に耐えてきたことが明らかになった。

また、女性の一部は、トイレットペーパーやティッシュー、ペーパータオル、乳児用おむつ、使い古しの靴下、Tシャツなどの古布などで作った代用品を使用したことがあり、生理用品を盗んだことがあるという女性もいた。さらに、病院の救急診療科へ行き分娩後の女性のために用意されているナプキンを入手したという女性もいた。

この報告を受け、女性医療の専門家らは「社会に警鐘を鳴らす調査結果だ」と話している。その一人で米ノースウェル・ヘルス・ハンティントン病院産婦人科のMitchell Kramer氏は、「世界で最も豊かな国から示された衝撃的な統計データだ」と指摘し、「医療従事者や専門家団体は、月経衛生に関連した政策の転換を訴えていく必要があることが強調された」としている。

一方、米スタテン・アイランド大学病院産婦人科のAdi Davidov氏は「低所得層が生理用品を購入しやすくなるような規制をかける必要がある」と述べている。なお、既にコネチカット州やフロリダ州、イリノイ州など複数の州で生理用品への課税が廃止されており、他の州でも権利擁護団体が課税廃止を要求している。

Kuhlmann氏も「生理用品が非課税となれば、日常生活に必要な最低限の物さえ買うことが難しい女性にとっては大きな助けとなる」と述べている。また、女性のだれもが生理用品を利用できるようにするため、女性医療に携わる医療従事者や専門家団体に対し政策の転換を支持するよう呼び掛けている。Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.

 

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