フェムケア・オムケアのサプリ市場は堅調に拡大、689億円から2030年に890億円へ

女性特有の健康課題に対応する「フェムケアサプリ」と、男性特有の健康課題に対応する「オムケアサプリ」を合わせた2023年の市場規模は689億円(フェムケアサプリ411億円,オムケアサプリ278億円)。富士経済が今月11日に発表した。タブー視されてきた生殖領域における健康課題への対応はこれまで遅れていたものの、ここ数年で深化した社会全体の理解やフェムテック関連の政策を背景に、消費者の課題意識や製品認知が進み、同時に製品数も増加。市場は2024年以降も安定的な成長が見込まれ、2030年には890億円(フェムケアサプリ603億円,オムケアサプリ287億円)へ拡大すると推計した。調査対象は以下のフェムケアサプリ7品目と、オムケアサプリ5品目。

フェムケアサプリメント
・更年期ケア
・PMSケア
・デリケートゾーンケア
・妊娠ケア
・女性尿トラブル
・女性ヘア・スカルプケア
・女性向け総合

オムケアサプリメント
・男性妊活
・男性機能改善・男性ホルモンバランス
・男性尿トラブル
・男性AGA・ヘア・スカルプケア
・男性更年期ケア・男性向け総合

 

出典:富士経済

 

更年期ケアサプリ、191億円から284億円へ拡大

フェムケアサプリの中で注目市場は、高伸長の更年期ケア。女性の更年期症状・更年期障害の緩和を訴求する製品を対象とする市場で、2023年の191億円から2030年に284億円へ拡大する見込み。「エクエル(大塚製薬)」が市場拡大をけん引しており、同製品のヒットにより、女性特有の症状に対し女性たちの意識が「仕方がない」「我慢するしかない」から「我慢しなくてもいい」「ケアするもの」へと変化し、市場に大きな影響を与えている。

 

PMSケアサプリ、8億円から34億円へ拡大

PMSケアも注目市場。女性ホルモンに作用してPMSをケアする製品と、月経時の痛み緩和を訴求する製品が該当し、市場は8億円(2023年)から34億円へ(2030年)

現状、女性ホルモンに作用するサプリの多くは更年期ケアで、PMSケアを訴求したサプリは少ない。「女性なら月経は仕方ない」といった考えが更年期症状以上に強いことから、長年にわたり市場は小規模にとどまっていたことが背景にある。だが女性の健康課題に対する社会全体の意識が変化していることや、2021年発売の「トコエル(大塚製薬)」の登場により、女性のケア意識が向上。各社の新製品投入も相次ぎ、市場が活発化している。代表例は2022年に明治が発売した「明治フェムニケアフードα-Lun」、2023年にポーラが限定発売を始めた「フェムグレス リミテッドエディション」、2024年にアサヒグループ食品が発売した「わたしプロローグ」など。

PMSケアサプリの競合製品は、一般用医薬品である月経前症候群治療薬の「プレフェミン(ゼリア新薬工業)」や、ホルモンに作用する当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸などの漢方処方エキス製剤など。

 

男性妊活サプリ、5億から7億へ拡大

オムケアサプリで注目市場は、妊活。妊活を訴求した男性向け製品が対象で、市場は5億円(2023年)から7億円へ(2030年)。市場は10億円に満たないものの参入企業は増加しており、消費者の関心も高まっていることから、今後も好調な推移が続く見込み。先行する製品は、「メネビット(バイエル薬品)」や「精育支援サプリメント(TENGAヘルスケア)」。

ここ数年で男性の妊活意識は大きく変わったものの、男性を対象にした妊活サプリの認知度は依然低い。だが妊活・不妊治療は夫婦で取り組むものという意識が広がっていることから、女性妊活サプリの需要増による相乗効果で、男性妊活サプリの需要増が期待される。また男性の妊活では、精液検査キットや精液観察アイテムを利用するケースもあることから、検査結果を通じた需要を取り込める可能性もある。

 

紅麴サプリ問題 女性消費者動向分析

 

【編集部おすすめ記事】
夫婦の妊活、男性パートナーの協力は得られるものの意見が食い違うのはなぜ?
健康食品を摂取している女性の割合と、摂取する目的
健康食品マーケティング3.0 ヒット商品を生み出す戦略とは?
女性ヘルスケア業界の完全ガイド、新年度に押さえておきたい基礎知識
【レポート】売れるフェムテックの「開発」と「販売戦略」 17の障壁と対策

PAGE TOP
×