コロナ禍で需要低下の「プチギフト」 期待大は職場内でのヘルスケア

お中元・お歳暮といったフォーマルギフト市場は縮小傾向にあるものの、プチギフトの需要は近年拡大している。だがこのコロナ禍で人々の関心は低下している様子。プチギフト市場の打開策とは?

コロナ禍で関心低下、プチギフト

人々のプチギフトへの関心が急激に低下している。ネット上での関心度がわかるグーグルトレンドで推移を見ると、2010年以降から右肩上がりだったのが一転、3月以降で大きく落ち込んでいる。

【出典】Googleトレンド「プチギフト」

プチギフトへの関心が低下している背景には新型コロナによる生活や働き方の変化があるが、もう少し具体的に掘り下げてみると以下が考えられる。

  • 外出自粛やテレワークで人に会う機会(プチギフトを渡す機会)が激減
  • 渡す側も受け取る側も、感染不安(渡す側は「渡したら嫌がれるかも…」、受け取る側は「感染しないかな…」)
  • コロナ禍でプチギフトは不謹慎かも…
  • 生活も仕事も収入も激変し、「誰かにプチギフトを渡したい」という気持ちにならない

wihtコロナ時代、どんな”プチギフト”がウケる?

感染拡大の懸念はまだあるものの、今後経済活動が徐々に復活すれば、完全復活とは言わないまでも、人々の消費活動も少しずつ戻り始める。ただし「戻る」といっても、コロナ以前の状態に戻るわけではなく、あくまで「withコロナ」を前提とした消費活動になる、ということ。こんなwithコロナ時代で、どんなプチギフトが女性たちに受け入れられるのか?

健康系のプチギフト

「人に贈り物をしているどころではない」と、プチギフトに対するテンションの低下は今後もしばらく続くだろうが、健康ギフトであれば不謹慎な印象もなく、渡す側も受け取る側も抵抗がなく印象が良い。

新型コロナによる生活変化により、この数ヶ月間でメンタル、フィジカルともに不調をきたしている女性は増えている。特に多く聞くのは、鬱々・イライラ・不安感などのメンタル不調、不眠、自粛生活よる肩こり・腰痛、運動不足による体重増加・体型変化・血糖値上昇など。

これらの解決を図れるグッズやサービスをプチギフト化すると喜ばれそうだ。女性特有の不調(PMS・更年期障害や不定愁訴など)にフォーカスするのも良いだろう。健康面を訴求したプチギフトは、コロナ禍だからこそ重宝される。

コロナ禍で生まれた課題解決型のプチギフト

育児不便・育児疲れ、買い物不便、外食不安、コミュニケーション不便など、コロナ禍で生まれた不便ゴト・不安ゴトを解決する商品・サービスをプチギフト化するのもありだろう。コロナ禍で女性たちにどのような需要が生まれたのか?については、以下をチェック。

ソーシャルギフトでプチギフト

外出自粛・移動自粛・テレワークなどで、以前と比べてリアルな場でのコミュニケーション量は減っている。プチギフトを手渡す機会も減っているということだが、これは今後の利用増が期待されるソーシャルギフトの活用で解決できる。直接会う機会がなくても、SNSを使って手軽にプチギフトを贈れる。

今のところは、ソーシャルギフトの認知・利用が進んでいるのは若い世代が中心だが、コロナ禍の今、全年代でデジタル利用の心理的ハードルが低下しているので、中高年齢層間の利用も今後は活発化していくと見られる。

 

アフターコロナ、プチギフト需要復活にどう備える?

終息時期はまだ予測つかないものの、アフターコロナに向けた準備も進めておきたい。アフターコロナでプチギフト需要がコロナ前と同等に復活したら、期待大は職場内でのプチギフト需要。ギフトのカジュアル化と商品サイズのスモール化が進み始めたのと同時に近年ニーズが高まっている「差し入れ」をキーワードに、企画・マーケティング設計するのがポイント。

【出典】Googleトレンド「赤=差し入れ , 青=プチギフト」

企業の健康経営項目に「女性の健康」が盛り込まれた背景も手伝い、今後は職場内の女性に向けた「健康系・美容系の差し入れ」を想定したプチギフトニーズが高まる気配。仕事中の女性の体悩みに応えたグッズを用意したい。

ただし美容系・健康系グッズの差し入れは、食べ物・飲み物の差し入れとは違って受け入れられないこともある。個々の身体状況に合う・合わないがあり、さらに職場内や仕事中の利用を想定していることも踏まえて、ミニサイズ・使い捨て・使いきりで提供するのがベスト。

ここでいくつか、職場内の女性に向けたヘルスケア系の差し入れプチギフトの参考になる事例と、編集部視点で「これは職場での差し入れプチギフトにしたら良さそう」と感じたものをいくつかピックアップ。

 差し入れめぐりズム(花王)

仕事や勉強などで頑張る人に差し入れることを想定した、使い切りのホットアイマスク、差し入れめぐりズム。長時間パソコンの前で仕事をしている女性に、眼精疲労で仕事に集中できない女性に、時間に追われ交感神経が高ぶっている女性にそっと差し入れたい時にぴったりのアイテム。

クナイプメッセージシリーズ(クナイプジャパン)

ドイツ発のハーバルブランドで、その豊かな香りや癒し効果で女性の人気を集めるクナイプと言えば、バスソルトが有名。そのバスソルトをプチギフト用に小袋化し、パッケージにメッセージを添えたのが “クナイプメッセージシリーズ”(以下画像)

例えば、緊張やストレスを和らげ幸福感を得られるというハーブのバニラを含むバスソルト”バニラ&ハニーの香り”のパッケージに添えられているのは「Everything will be fine きっとうまくいくよ」。

出典:クナイプ

各植物の効能を”ギフトメッセージ”に変換できるのは、ハーバルブランドならではの強み。バスソルトは「仕事後の自宅でのリラックスタイム・美容タイム」として差し入れを。

アロマサプリ(エステー)

アロマオイルによるヘルスケア事業として2017年にエステーが発売を開始した”アロマサプリ”シリーズの一つが、カードのような薄型容器を「プチっ」と押すだけで香りが広がる使い切り型アロマ”プチっとアロマ 頭脳のチカラ”。香りの持続時間は1〜2時間。

【出典】エステー

エステーオンラインショップ限定での販売なので、目にしたことがある人は少ないかもしれない。プチギフトとしての用意はないが、持ち運び可能で場所を取らないサイズ感は職場での利用にもぴったり。手軽に使える”1回使い切りタイプ”の点も、受け取った側が負担を感じない。仕事中に香りでリラックスしたい時に差し入れされたら、「癒される〜」と喜ぶ女性は多いはず。

リポビタン(大正製薬)

上記3商品は、購入者(=プチギフトを贈る側)は女性または男性、利用者(=受け取る側)は女性を想定しているが、リポビタンの特別限定セットは、購入者は女性または男性、利用者は男性、というケースが多そう。

この特別限定セットに入っているリポビタンのボトルには、「ありがとう」のシールが。デザインや世界観は”いまどき感”からは遠くまた男性的なので、女性から女性への差し入れとしては選ばれづらいが、「栄養ドリンク」と「職場での差し入れ」の相性はぴったり。

職場内の女性への差し入れを想定したプチギフトを

ここまで、差し入れを想定した職場内でのプチギフトの事例を見てきたが、その他にもいろんなものに可能性がある。例えば、つま先用や足首用カイロ。冷えに悩む女性にとって、オフィス内の足元の冷えは季節関係ない。

カイロはもともと使い捨てタイプが多いので、差し入れ用のプチギフトには最適。パッケージデザインがもう少し目を引くものになれば、女性たちが手に取るようになるはずだ。ハンド用化粧水のミニボトルもいい(仕事中のハンドクリームはべたつくのでNG)。職場内の女性に差し入れることを想定したプチギフトは、まだまだ少ない。アフターコロナに備えて今から企画・開発してみてはどうだろう?

 

 

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