ソーシャルギフト市場は急速拡大、消費者も企業も支持する理由と事例

ソーシャルギフトの拡大は、世の中全体の「カジュアル化」や、ソーシャルメディアの定着、プチプラギフトを贈り合う人が増えていることなどが背景にある。2018年の市場規模は1,167億円、2023年には2,492億円へ達すると見込まれ(矢野経済研究所)、”贈り方”の選択肢として急速に浸透している。ソーシャルギフトとは?人気の理由、CtoC、BtoCの活用事例をチェック。

ソーシャルギフトとは?

ソーシャルギフトは新しいギフトの形

ソーシャルギフトとは、SNSでつながっている相手にギフトを贈るサービスのこと。ソーシャルサービスの発達を受けて登場した新しいギフト形式。C to CでもB to Cでも活用されている。相手の住所を知らなくてもSNSアカウントさえ知っていれば気軽に贈ることができる点が人気の理由。インターネット上で行うギフト形式であることから、最近はeギフトとも呼ばれている。ソーシャルギフトサービスの主な提供事業者は、ギフティ、LINEギフトなど。各社、C to Cの個人向けサービスと、B to Cの法人向けサービスを提供している。LINEの場合、ビジネスアカウントである「LINE@」上でB to Cの提供も可能。

ソーシャルギフトが日本に登場した背景

韓国での流行をきっかけに日本でもソーシャルギフトサービスが登場し、広く知られるようになった。例えば、ソーシャルギフトサービス「Gifticon」を韓国で展開するSK planet Japanが日本で展開しているのが、「cotoco」。

C to Cのソーシャルギフト(個人向けサービス)

個人が個人へソーシャルギフトを贈る場合、そのフローを「ギフティ」を例にして紹介すると以下のようになる。基本的なフローは各社同様。

  1. ギフト一覧から贈りたい商品を選び、その場でオンライン決済
  2. 好きなデザインでオリジナルカードをオンライン上で作成
  3. カード内にメッセージを打ち込み商品URLと一緒に贈る

B to Cのソーシャルギフト(法人向けサービス)

企業が個人へソーシャルギフトを贈ることもできる。B to Cのソーシャルギフトでは、SNS上でのキャンペーンの景品や、アンケートへの謝礼などに活用できる。老舗チョコレートブランドのゴディバは新商品発売を記念したキャンペーンでソーシャルギフトを導入し、約4.3万の新規フォロワーを獲得した。同社のソーシャルギフトを活用したキャンペーンの流れは以下。

  • 【ゴディバ 新商品発売記念キャンペーン】
    1.ゴディバ公式アカウントをフォローし、キャンペーンツイートをRT
    2.キャンペーンURLにアクセスしTwitter認証を行う
    3.抽選に参加する
    4.「GODIVA ギフト券(1,000円)」か「ゴディバ キューブ トリュフ(1粒)ご試食」が当選
    (参考:giftee「デジタルギフトとは」)

B to Cにおけるソーシャルギフトは「デジタルギフト」とも呼ばれている。ソーシャルギフトとデジタルギフトは同義語的に使われるケースも見られるが、C to CとB to Cを分けて考えるために、ソーシャルギフトを提供する企業の中には、B to Cのサービスにおいては「デジタルギフト」と呼んでいるところもある。

 

ソーシャルギフトの市場規模

ソーシャルギフト市場は、CtoC、BtoC、ともに年々拡大している。

市場規模は拡大、2021年に1310億円へ

矢野経済研究所によるとソーシャルギフトの国内市場規模は2014年度が82億。年々拡大し2018年は1,167億円で、4年で14倍の急成長を見せている。2023年度は2,492億円までに成長すると予測している。

ソーシャルギフトが人気の理由 〜消費者視点〜

ファッション、通勤服、生き方、メイク、結婚式などあらゆる場面で「カジュアル化」が進む中、カジュアル化はギフト市場でも起きている。かつての中元・歳暮といった堅く儀礼的なギフトは敬遠され、替わりにカジュアルギフトの需要が拡大。ソーシャルギフトサービスは、そんなカジュアルギフトニーズに応えていると言える。ソーシャルギフトサービスが人気の理由は以下が考えられる。

  • 会う機会が少ない友人や親せき、知人などとの“つながり”を維持する手段として便利
  • プライバシーがより重視される昨今、相手の住所を尋ねることなく気軽に贈ることができる
  • わざわざ店舗に行ってギフトを探して発送する、という手間を大幅にカットできる
  • 「ドリンク1杯」「チョコ1つ」といった低価格商品でも、相手に喜んでもらいやすい

ソーシャルギフトが人気の理由 〜企業視点〜

ソーシャルギフトをマーケティングに活用する企業は急速に増えている。矢野経済研究所は、企業がソーシャルギフトを活用するメリットとして4つを挙げている。

  1. 景品の管理や郵送などのコスト削減
    従来の商品を直接プレゼントする方法は管理や郵送にコストがかかるが、ソーシャルギフトはデジタルでプレゼント送付が完結するため、管理費や郵送費がかからない。
  2. データを簡便にまとめ、手軽にマーケティングへ活用
    従来は、プレゼントキャンペーンでは応募者の個人情報の入力や取りまとめる際に手間がかかる。一方、ソーシャルギフトはデータで一括管理ができるため、分析やマーケティングへの活用がスムーズにできる。
  3. 個人情報管理の手間やリスクを削減
    社内での個人情報の取り扱いは管理に手間やコストがかかるだけでなく、漏洩のリスクが伴う。ソーシャルギフトであれば、送り先がわからない相手へもギフトを贈ることができるため余計なコストやリスクを減らせる。
  4. 受け取る側が好きな商品を選ぶことができるので、顧客の満足度を高められる
    キャンペーンやノベルティとしてプレゼントを贈る場合、従来のやり方では、企業側の判断で景品を選択する必要があり、景品の内容によっては、顧客の好き嫌いが分かれ応募に取りこぼしの懸念がある。だがソーシャルギフトは受け取る側が好きな景品を選べるので、取りこぼす心配がなく、同時に顧客の満足度を高められる。

 

ソーシャルギフトの事例 〜C to C〜

ソーシャルギフトは、スターバックスやローソンのように実店舗を全国展開している企業の他、オンラインショップ運営している企業との相性がよい。贈られた相手が、すぐに・簡単にギフトを受取ることができるからだ。

スターバックス

スターバックスではソーシャルギフト「Starbucks eGift」のサービスでドリンクチケットやフードチケットを提供。

  • 【ギフト商品】
    スターバックスのドリンクやフード
  • 【贈り方】
    1.メッセージを添えたオリジナルデザインカードを作成
    2.スターバックスカードの他、クレジットカードやLINE Payにも対応したオンライン決済で支払い
    3.LINEやFacebookなど好きなSNSを選びギフトを送る
  • 【受け取り方】
    1.店舗に向かう
    2.ドリンクを注文し贈られたチケット画面を提示
  • 【スタバならではの特徴】
    ・気持ちやシーンに合わせたオリジナルデザインを作れる
    ・スターバックスカードで決済するとスターバックスのポイントが付く
    ・クリスマスなどのイベント時にはeGiftの会計でプレゼントキャンペーンが行われることも

ローソン

ローソンはソーシャルギフトサービスである「ギフティ」「LINE ギフト」でギフトサービスを展開。

  • 【ギフトできる商品】
    ローソンで使用できる買い物券や、店舗で販売しているドリンクやフード類
  • 【贈り方】
    提携サービスによって異なる
  • 【受け取り方】
    受け取ったらローソンへ行き、該当する商品を持ってレジでチケット画面を見せる。ただし買い物券の場合は一度店内に設置されている店頭端末Loppiにて引換券を発行する必要がある
  • 【ローソンならではの特徴】
    ・全国展開のコンビニチェーンのため、受け取り手にとって便利
    ・100円~の商品もあり、日々のちょっとしたプレゼントに使いやすい

 

ソーシャルギフトの事例 〜B to C〜

ANA

「share旅」と称したTwitterキャンペーンで、認知度向上を目的にソーシャルギフトを活用。

  • 【share旅 キャンペーン】
    1.ANA公式Twitterアカウントをフォローし、当該のキャンペーンツイートをRTする
    2.キャンペーンURLにアクセスしTwitter認証を行う
    3.ギフティの抽選に参加する
    4.当落結果が表示され、当選者にはファミマお買い物券(税込300円)プレゼント

同キャンペーン開始後10日間で2.6万のRTを達成し、キャンペーンへの参加表明ツイートも相次いだ。低コストで効率的な拡散プロモーションを実現できた(参考:giftee「全日本空輸株式会社様 share旅」)。

ビー・エスコート(美容脱毛エステサロン)

美容脱毛エステサロンのビー・エスコートはソーシャルギフト導入で、平均15,000円といわれる顧客獲得単価を、3分の1の約5,000円に抑えることに成功した。これまで手作業で数日間にわたり行われたキャンペーンのプレゼントクーポンの発送を、公式Twitterでのソーシャルギフトキャンペーンに変更することで工程を減らし、数時間で終了できるようになった。(参考:Biz cotoco「東海でシェアNo.1!美容脱毛エステ・サロン「ビー・エスコート」様の導入事例」)

 

ソーシャルギフト×ヘルスケア

需要が進むソーシャルギフトサービスだが、ヘルスケア関連のソーシャルギフトはまだ少ない。例えばプチ健康グッズや話題の化粧品、ヘルシーなお菓子、スポーツ施設の体験チケットなどは需要があるだろう。多くの女性の間で健康意識が高まっているからだ。せっかくソーシャルギフトを贈るなら「不健康なお菓子」よりも「ヘルシーなお菓子」を贈りたいし、贈られる方も「ヘルシーなお菓子」の方が嬉しいもの。親の健康を気遣う子どもから親への「健康診断ギフト」や、健康関連グッズをプレゼントする「健康ギフト」も広がりを見せ、需要は確実に伸びている。新たな顧客獲得の場としてヘルスケア企業はソーシャルギフトを検討してみてはどうだろう。

 

 

 

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