「生きがい」に変化 人との繋がりや仕事よりも求めること
公益財団法人年金シニアプラン総合研究機構の調査によると、生きがいの保有者は漸減傾向にあり、また、加齢に伴い生きがい保有率は総じて低下しているという。生活と生きがいに関して、調査結果概要は以下。(対象:35〜74歳の企業年金があるサラリーマン男女およびサラリーマンOB(企業年金の加入者および受給者)1,288 人)
- 「仕事」が32.5%から18.0%に減少
- 「ひとりで気ままにすごす」が7%から17.5%に増加
- 心の安らぎが得られる場が減少し、「どこにもない」とする人が増加
- 生きがいを得られる場は「仕事」から「家庭」に移る一方で、「家族の理解・愛情」は減少している
- 自ら他人とのつながりを求めない人が増えている
何に生きがいを感じるか?
生きがいを感じる項目を20年前の調査結果と比較すると、「仕事」に生きがいを感じる人が減少している一方で、「配偶者・結婚生活」、「ひとりで気ままに過ごすこと」を生きがいに感じている人が増えており、ワークライフバランスや「個」を重視する人が増えている様子がうかがえる。価値観がこの20年で特に大きく変化した項目と言えそうだ。以下( )内は平成8年の調査結果。
- 趣味 46.7%(37.6%)
- 子供・孫・親などの家族・家庭 36.3%(36.1%)
- 配偶者・結婚生活 27.7%(17.1%)
- 仕事 18.0%(32.5%)
- ひとりで気ままにすごすこと 17.5%(7.0%)
- 友人など家族以外の人との交流 12.5%(13.8%)
- スポーツ 12.0%(12.1%)
- 自分自身の健康づくり 11.7%(15.9%)
- 自然とのふれあい 10.5%(17.7%)
- 自分自身の内面の充実 10.1%(10.7%)
生活者の生きがいを高める商品・サービスが求められる
経済大国である日本、しかし2017年発表の世界幸福度ランキングで日本は51位。決して高い順位とは言えない(上位5カ国は上位から「ノルウェー」「デンマーク」「アイスランド」「スイス」「フィンランド」)。必ずしも経済状態が幸福に結びつくとは言えず、同レポート内にある「新たな生きがいの場を自ら見い出す積極性も持たず、ただ、生きがいの喪失に繋がる現状が浮かび上がる」というコメントからも、日本の幸福度が51位である結果に納得せざるを得ない。
個々のQOL向上においても、またビジネス商機という意味においても、「個々の生活者の生きがい」をサポートするサービスや商品は今後の国内市場で求められるようになってきそうだ。
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