【女性の不満vol.1】「写真撮影禁止です」なぜ?購入をやめた女性たち
女性の不満シリーズ
- シリーズでは、日々の生活や買い物の現場で女性たちが感じる、企業に対する「疑問・不満・不思議」について掲載しています。ウーマンズラボ編集部は日々女性たちの声を収集していますが、彼女たちの声が企業になかなか反映されない・届かないと感じています。そこで、メーカー・流通・メディア・総合商社・広告代理店など多くのビジネスパーソンの方々にご覧頂いているウーマンズラボを通じて女性たちの声を企業に届けられるよう、ウーマンズラボ編集部が女性たちの声を収集・再構成・編集しました。多くの企業が「女性の不満」を知り、改善のきっかけにして頂ければ幸いです。
目次
「写真撮影」を頑なに拒否する企業
SNS投稿のためだけに商品を購入し、その後ゴミ箱に捨てるという行き過ぎた行為や(例:インスタ映えするアイスクリームを購入して写真撮影したら、その後食べずにゴミ箱に捨てるなど。このような行動が度々問題視されている)、静かにすべき飲食店や施設内で過度な写真撮影をするようなマナー違反行為は当然問題にすべきだが、百貨店の服売り場やバラエティショップなど一般的な店舗でいまだに「写真撮影お断り」の姿勢を貫いている企業はまだまだあるようだ。
次に示す3例はいずれも女性客たちの買い物中の体験談(ウーマンズラボ編集部調査)。店舗側の「写真撮影禁止です」という頑なな姿勢が購入意思のある女性客を不快にし、その結果、機会損失につながっていることが分かる。
商品購入意思がある女性客を逃したケース
次の2例は、SNS投稿用ではなく「購入したいけど自分だけでは決められないから、写真を撮影する必要がある」というケース。
例1:百貨店の服売り場「夫とお揃いでつけたいから…」
百貨店の服売り場で見つけたブレスレット。夫とお揃いで身に着けたいと思い、その場にはいなかった夫にLINEで「これ、お揃いでつけない?あなたも気に入るようなら買っておくね」と伝えたいと思いスマホで撮影しようとした。すると店員がすぐさま近寄り「ごめんなさい。店内撮影禁止なんです」と注意した。
女性は「夫にもこの商品見てもらって、夫も気に入ったら2つ購入したいんです。だから夫に写真送りたいんですけど…」と伝えた。ところが、購入してくれるかもしれない女性客に対し店員は「でもダメです。ご遠慮ください」の一点張り。女性客は当然不快になりその場を去った(34歳女性)。ちなみに、ブレスレットの単価は¥19,000。写真撮影を頑なに拒否しなければ、¥36,000の売上になったはずだった。
例2:バラエティショップ「共同購入だから友達にも確認してもらう必要があるの…」
誕生日パーティ参加でプレゼントを用意することになった。今回は豪華なプレゼントをしたいと思い、女子会に参加する5名でお金を出し合い共同購入することにした。皆からお金を預かり、早速バラエティショップへ出かけ候補の商品を見つけた。しかし今回は5名で共同購入するため自分1人だけでは決められない。そこで、購入前にLINEで皆に確認しようと思い、「この商品買おうと思うけど、これでいい?」と画像を送ろうと考えた。
スマホをかざして写真撮影しようとすると、店員が走り寄り「店内では撮影しないでください」と注意しに。そこで女性は「え?なんで?」と思わず聞き返した。店員は「規則ですから」と答えた。女性は嫌な気持ちになり、購入をやめ他の店へ向かった(29歳女性)。
例3:無料で宣伝しようとしてくれた女性客を不快にしたケース
こちらはSNSに画像を投稿しようとした女性のケース。クリスマスの時期。職場から駅へ向かう途中で、クリスマスのウィンドウディスプレイがとても可愛い宝飾店を見つけた女性。Instagramに投稿しようと、道路からウィンドウディスプレイを2~3枚スマホで写真撮影した。すると店内にいた店員が慌てて店の外に出てきて一言、「写真は撮らないでください」。女性はそれに素直に応じ撮影をやめたが、翌日、“昨日の不快な事件”について同僚たちに伝えた。同僚たちは「今時、写真撮影がダメってどうなの?」「SNSで拡散されれば良い宣伝になるのに!変なの」と不思議がった。感じ悪い店舗側の対応にも非難轟々。女性も同僚も、当然その店はもう行かないという。(42歳女性)。
なぜ「写真撮影を禁止するのか」
冒頭でも述べている通り他の客への迷惑になるなどの問題をのぞけば、なぜ写真撮影を禁止する必要があるのか。特に上記の例1と例2に関しては、明らかに購入意思があり、また撮影対象は商品そのもので、他の客への大きな迷惑になるとは考えづらい。
消費者の無関心化・何にもトキメクことがなくなった消費者に、Amazonなどのネット通販やメルカリに代表されるCtoCアプリにはない優位性を高めて振り向いてもらうためには、「写真撮影できる」ことは実店舗ならではの一つの強みとなる。
「SNS全盛期の時代だから写真撮影は許可すべき!」という短絡的な話ではなく、「今この場にいない彼・友人・家族の判断を仰ぎたいから写真を撮って送りたい」という客だっているし、あるいは「今日は買えないけど、お給料が出たらこれを買いにこよう」と記憶しておくために撮影しておきたいなど様々な事情があるだろうから、頑なに“写真撮影拒否”という姿勢を貫いている場合は、今一度その方針を見直したい。
超高齢社会を迎えた国内において今後、「高齢の母や祖母に代わって買い物しにきました」という女性は増えるだろうし、またそのお店・施設を訪れたことを記念にしたくて撮影する外国人観光客だってますます増えるだろう。「写真を撮る」行為は、現代の消費者の消費行動の一つとしてすでに定着していることを考慮すると、可能な限り“写真撮影OKの姿勢”のほうが有利である。
ただし、他人の写真に不本意に写り込んでSNSで拡散されることを嫌がる客もいたり、店舗・施設側の何かしらの事情でどうしても写真撮影はNGにせざるを得ないということもあるので、業態や店舗・施設のコンセプトとの相性も考えて、ある程度のルールを決めたり、あるいは客の事情によって柔軟に対応するのが望ましいだろう。
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