盛り上がる子どものヘルスケア市場、親の7割が「子の将来の健康のためにお金・時間を使いたい」
世界的な健康志向の高まりやコロナ禍の免疫意識の高まりなどを背景に、自分自身はもとより、子どものヘルスケアに関心を寄せる親が増えている。共働きによる忙しさから、子どもの発育を意識した食事作りなどが十分にできていないといった課題感も、意識を後押し。そんな親たちのニーズを掴もうと、子ども向けのヘルスケア製品が続々と登場している。子どもが苦手意識を持たずに手に取れるよう、例えば健康食品なら、グミやチュアブルといった形状やお菓子感覚のフレーバー、キャラクターなどの遊び心を取り入れたパッケージなど、子ども向けならではの工夫が施されている。今年6月にキリンが子ども向けに初めて発売した健康飲料「ムテキッズ」も、その一例だ。少子高齢化による将来的な人口構造のさらなる変化に備え、α世代向け製品の開発に各社が関心を寄せる中、本稿では「健康」にフォーカス。親たちの「子どもの健康づくり」に関する意識が見えてくる調査結果を集めた。
子どもの将来の健康のためにお金・時間を使いたい、7割
子育て世代の子どもの健康に対する意識を探ろうとサンスターが調査を実施したところ、子どもの将来の健康のためにお金も時間もいとわない親の意識が見えてきた。調査は今年6月に、0~6歳の子どもを持つ男女1,000人に実施。「子どもの将来の健康のためなら、できる限りお金や時間をかけたり、様々な方法を試してあげたいと思うか?」と尋ねたところ、約7割が「そう思う(「とてもそう思う」と「そう思う」の計)」と回答した。
具体的には、どのようなことにお金・時間を使っても良いと考えているのか?「子どもの将来のために投資したいことは?」と尋ねた質問では、最多が「バランスの取れた食事」だった。
- 1位:バランスの取れた食事(48.7%)
- 2位:健康な歯やお口のためのケア(41.8%)
- 3位:適度な運動や外遊びなど体を動かすこと(38.0%)
- 4位:規則正しい生活リズム(32.6%)
- 5位:健やかな肌のためのスキンケア(27.7%)
- 6位:知的好奇心を育む学習機会(27.4%)
- 7位:自己肯定感をはぐくむ(23.9%)
- 8位:投資していることはない(20.2%)
- 9位:その他(0.0%)
食事による健康づくりは発育や健康の土台となる上に、子どものおやつや食生活に取り入れやすいことから、子ども向けの健康製品の中でも、健康食品のニーズは最も強いと言えそうだ。
子どもの免疫力を強化したい、8割
子どもの免疫に対する親の意識を探ったのは、明治。今年3月に小学校3年生以下の低年齢の子どもを育てる全国の父母1,000人に調査を実施し、「子どもの免疫力を育てたいと思うか?」と聞いたところ、「そう思う(「そう思う」と「ややそう思う」の計)」と回答したのは76%で約8割に上った。現時点で取り組んでいることも尋ねており、「子どもの免疫力を強化するために実践していること」は以下だった。
- 1位:十分な睡眠を取らせる(62%)
- 2位:規則正しい生活を送らせる(57%)
- 3位:食事の栄養バランスに気を配る(50%)
- 4位:適度な運動をさせる(46%)
- 5位:マスク着用・うがい・手洗いを徹底させる(44%)
- 6位:予防接種を積極的に受けさせる(37%)
- 7位:室内を適度な湿度・温度に保つ(33%)
- 8位:腸内環境が整うような食生活(31%)
- 9位:栄養補給のためサプリメントを摂取させる(11%)
- 10位:その他(0%)
- 11位:当てはまるものはない(9%)
調査ではその他、子どもが感染症にかかったことによる親の仕事や体調へのネガティブな影響も尋ねており、子どもの健康維持は親にとってプレッシャーになっていることもわかった。核家族の共働き世帯が増えるなか、家庭内で頼れる大人は限られており、子どもが病気に罹ることは親にとっても大きな負担に。そういった事情も、親の「子どもの健康づくり」への関心を高めているようだ。
子どもの日傘、男性より女性が肯定的
例年の猛暑で日傘を使う属性が広がり、近年は男性や子どもが使う姿も珍しくなくなった。子どもの日傘の使用については、視界が狭まることで車や自動車に気付きにくなったり、強風による転倒や事故といったリスクなどの側面から反対意見もあるが、熱中症対策や紫外線対策の観点から、好意的に捉える声が年々高まっている。特に好意的に見ているのは男性より女性で、調査会社の日本インフォメーションが明らかにした。調査は今年7月に、20~69歳の男女1,180人に実施。子どもの日傘利用について「当然だと思う」「できるだけ利用した方が良いと思う」と回答したのは、男性全体で50.0%に対し、女性全体は71.9%に上った。女性の方が健康・美容意識が男性より一般的に高いことから、日傘を使うメリットを理解できていることが背景にあると見られる。
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