女性クラスター
女性市場トレンドと消費傾向

女性に多い、高揚感・不安緩和を求め市販薬を乱用

危険ドラッグの乱用者は男性に多いことは知られているが、ドラッグストアや通販で誰もが購入できる市販薬の乱用・依存は女性と若年層に多いという。

2014年に最も多かった危険ドラッグの乱用者は男性中心だ。対して、市販薬は女性が7割を超える。使用している層が異なるため、危険ドラッグが規制された結果、市販薬に流れたという単純な構図ではない。若年層、しかも女性に多いのが市販薬乱用の特徴だ。東洋経済「市販薬の「大量服用」に依存する人の切実な実態」2020.2.10

不安解消や高揚感を求め市販薬を大量に摂取し続け、やがてそれ無しでは生活がままならなくなってしまう市販薬依存。合法かつ誰でもすぐにどこででも安価に購入できる点が市販薬依存に拍車をかける。

市販薬依存の実態

全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」によると、薬物依存のうち大半を占めるのは覚せい剤ではあるが、市販薬も約5%を占めており、2016年と2018年の調査を比較すると市販薬の割合が微増していることがわかる。

年代別に見ると10代の薬物依存患者のうち4割は市販薬。

さらに問題視されているのが、10代の薬物依存患者のうち市販薬に依存している患者が2014年~2018年の間で急増している点だ。

市販薬依存患者が摂取していた市販薬 実名

同調査では「本来の目的以外に使用された市販薬の商品名」についても公開しており、商品名は以下の通り。パブロン、イブ、バファリン、ロキソニン、ルルなど、いずれもTVCMでも頻繁に見かけ、かつ認知度の高い商品だ。

市販薬に依存する経緯・理由

市販薬の乱用・依存について直近では以下メディアが取り上げており、ネット上には「自分の姉が今そういう状態」「職場に市販薬を異常なほど飲み続ける人がいる」「親がそうだった」といった声があがっている。一方で「市販薬に依存性があるとは知らなかった」という声も。今はまだ、後者の声の方が圧倒的に多いのが現状だろう。

太融寺町谷口医院(大阪市)の院長谷口恭氏が代表をつとめる特定非営利活動法人GINAには市販薬依存の症例として以下の2事例を挙げている。

今回は、BZよりもさらに簡単に入手できる危険な薬剤の話をします。それは薬局やネットで簡単に入手できる風邪薬と鎮痛薬です。いわゆる総合感冒薬というのはテレビや雑誌で頻繁に宣伝されていますし、危険な薬というイメージからは程遠いでしょう。ですが、こういった薬で人生を狂わされてしまった人は決して少なくありません。違法薬物やBZの場合は、ある程度危険性を分かっていて始める人が大半ですから、ある意味では”確信犯的”ですが、風邪薬や鎮痛薬の場合は「宣伝の犠牲」とも呼べる例が少なからずあります。症例を紹介しましょう。

【症例1】20代女性
風邪を引いて近所の薬局に。咳が強いため咳によく効くという薬(ブロン錠)を購入。使用説明書に眠気が起こるかもしれないと書いてあったので寝る前のみ飲むことにした。薬はよく効き、前日まで咳でほとんど眠れなかったのが昨日は嘘のようによく効きぐっすり眠れた。安眠できたことからその後も寝る前だけこの薬を飲むようになった。気づけば3か月が経過し、なぜか寝る前以外にも飲みたいという衝動がでてきた……。

【症例2】30代女性
以前から頭痛がある。市販のものをいろいろと試したが結局「ナロンエース」が一番”合っている”ことが分かった。最初は週に2~3回しか飲んでいなかったが、最近は1日も欠かせなくなってきている。錠数がどんどん増えてきて1日に10錠以上飲むこともある。頭痛はますますひどくなり薬も増える一方となっている……。
引用:NPO法人GINA「第153回(2019年3月) 知らない間に依存症~風邪薬と痛み止めの恐怖~」

上記2つの症例は、単純に病気・不調改善のために服用していた結果として依存性が強くなってしまった例ではあるが、他にどういう人が市販薬を乱用してしまうのか?厚生労働省の「濫用等のおそれのある市販薬の適正使用について」によると以下だという。

筆者自身の経験にもとづいて述べさせていただければ,薬物依存症外来で遭遇する市販薬乱用・依存患者の多くは,薬物乱用以前よりリストカットや,「消えてしまいたい」「死にたい」という気持ちを抱えるなど,さまざまな生きづらさを抱えた10代の若者です。種々の事情から,家庭や学校におけるさまざまな心理的苦痛を率直に親などの家族に相談することができず(あるいは,不信感から相談する気持ちにならず),自分一人で抱え込んでいる人たちです。引用:厚生労働省「濫用等のおそれのある市販薬の適正使用について」

セルフメディケーションのリスクか

近年、医療費問題の解決策の一つとしてセルフメディケーションが推奨されているが、市販薬依存・乱用への入り口となるリスクはゼロではない。

市販薬に依存性があることを知らない生活者は多い。セルフメディケーションの周知とあわせて、同時に市販薬の依存性についても適正かつ積極的な情報提供・情報開示がメーカー、小売りに求められる。ネット上の関心度を確認できるGoogleトレンドで「市販薬」を調べると、キレイなまでの右肩上がりだ。医療費抑制の視点から見ると関心の高まりは喜ばしいことではあるが、市販薬への関心度の高まりの影に潜むデメリットにも目を向けていく必要がある。

Googleトレンド「市販薬」

 

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