「新富裕層調査2025」発表、世帯年収1,500〜5,000万以上の消費・生活意識を明らかに(20〜69歳男女)
博報堂富裕層マーケティングラボが、「新富裕層調査2025」を発表した。世帯年収1,500万円以上の20~69歳の男女計3,512人を対象に、今年3月に調査を実施し、富裕層のインサイトを探った。調査を通じ同社は「経済的にも文化的にも成熟した新富裕層の共感を獲得するには、物性的・機能的価値に加え、『ストーリー』のエビデンスにもなるような、『モノづくり』全体に宿る文化的・芸術的な独自の価値、つまり「文化的意味性」が重要になってくるのではないか」とコメントしている(調査では、世帯年収1,500万円以上を「所得富裕層(インカムリッチ)」と定義)。
目次
富裕層の金融資産
金融資産1億円以上の富裕層は、全体で1.6%。内訳は、世帯年収3,000万円以上が5割を占め51.6%、5,000万円以上では68.6%。金融資産5億円以上の超富裕層は全体で0.3%。5,000万円以上が最多を占め、50.7%だった。
富裕層の職業属性
世帯年収1,500万円以上の世帯の属性を見ると、「会社員」が全体で44.9%と半数近くに上る。内訳は、最大が1,500万円以上で56.2%、3,000万円以上で比率が低下する。「会社経営者・役員」は、全体で1.6%。世帯年収に比例して上昇する傾向が見られ、5,000万円以上で2割を占めた。
富裕層の保有資産
保有資産については、「株式」や「NISA」の保有率は、インカムリッチ全体を通じて高く、世帯年収による差は小さかった。世帯年収3,000万円以上では、投資信託でも「アクティブファンド(20.9%)」や「REIT(20.7%)」、仮想通貨等の「暗号資産(21.8%)」といった、オルタナティブ資産の保有が、世帯年収に比例して増加。5,000万円以上では、オルタナティブ資産でも「FX(28.2%)」「社債(22.9%)」「先物・オプション(16.0%)」「プライベートエクイティ(15.4%)」の保有率や、「時計・宝飾等(23.5%)」「金等の貴金属(21.0%)」「アート(16.8%)」など、現物資産の保有率が拡大する傾向が見られた。
富裕層のキャリア意識、ピークは「世帯年収3,000万円」
キャリア意識を尋ねた質問では、「常に新しい知識や経験を追い求め、自分を成長させ続けたい」は、3,000万円以上(57.6%)で最も高く、5,000万円以上(51.5%)ではやや低下した。「仕事を通じて、高い社会的地位やステータスを手に入れたい」意識は、3,000万円以上(48.3%)と5,000万円以上(47.0%)で高い傾向が見られた。
富裕層の消費・生活意識
タイパ意識、健康意識
消費意識や生活意識についても聞いた。「タイムパフォーマンスを重視した生活をしたい」も「自身の健康や心の豊かさのためにお金をかけている」も、世帯年収に比例して高まる傾向が見られた。
家事・育児分担の意識
家事・育児分担の意識は、世帯年収が上がるほど低下。「夫婦・パートナーと協力して、家事や育児を分担すべきだ」は、1,500万円以上が最も高く62.9%だった。夫婦で分担すべきという考えよりも、外部サービスに頼る発想が根付いているためか、「家事代行や育児サポートの外注サービスは積極的に利用するべきだ」は、世帯年収が上がるほど高くなった。
子育て・教育
「子どものためなら仕事や居住地、ライフスタイルを変えることもいとわない」と「子どもには海外留学をさせたい」は、どちらも、世帯年収3,000万円で最も高かった。
アート・カルチャー志向、ストーリー消費志向
「文化や芸術に触れることで自分自身の教養やセンスを高めていきたい」は、世帯年収の上昇と共に増加する傾向が見られた。消費に関して、「商品そのものだけでなく、その背景にあるストーリーが大切だと思う」は、3,000万円以上で半数を超えた。
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