糖尿病と高血圧、喫煙習慣による心筋梗塞リスクに性差

糖尿病や高血圧、喫煙習慣といった従来のリスク因子による心筋梗塞の発症リスクには性差がみられる可能性があることが、英オックスフォード大学ジョージ国際保健研究所のElizabeth Millett氏らが実施した研究から明らかになった。これらのリスク因子があると心筋梗塞の発症リスクが高まるが、こうした影響は男性よりも女性の方が大きいことも分かったという。詳細は「The BMJ117日オンライン版に掲載された。

この研究では、英国の大規模なコホート研究であるUK Biobankに参加した4069歳の男女471,998(平均年齢56.2歳、女性56%)を対象に平均7年間追跡し、心疾患リスク因子と心筋梗塞発症との関連を調べた。その結果、糖尿病と高血圧、喫煙習慣の3つの心疾患リスク因子は全て男女ともに心筋梗塞リスクを高めるが、女性では男性に比べてリスクがより高まることが示された。

例えば、男性では喫煙歴のない人に比べて喫煙者の心筋梗塞リスクは約2だったが、女性では喫煙者のリスクは約3倍であった。こうした傾向は高血圧と糖尿病でも認められ、高血圧による心筋梗塞リスクは男性に比べて女性で1.8倍であり1型糖尿病に関しては女性でリスクは約3倍、2型糖尿病では約1.5倍であることが分かった。一方、過体重と肥満があると男女ともに心筋梗塞リスクは高かったが、リスクの程度に性差はみられなかった。

これらの結果を踏まえて、Millett氏は「全体的には女性よりも男性の方が心筋梗塞を発症する人は多い。しかし、主要なリスク因子の中には、男性よりも女性で心筋梗塞リスクをより高めるものがあることに注意が必要だ」と指摘している。

また、二人の専門家は、この研究により「心疾患は決して男性だけのものではないことが強調された」と話している。その一人で米レノックス・ヒル病院のSatjit Bhursri氏は「心血管疾患に関する研究の多くは男性を対象としているが、今回の研究では対象者の半数以上が女性であった点が重要だ。一般に女性は男性よりも心血管リスクのスクリーニングや予防介入が軽視されがちだが、この結果から、それらは男女ともに重要であることが明らかになった」と述べている。

また、米ロングアイランド・ユダヤ医療センターのCindy Grines氏は「心疾患は米国女性の死因の第1位を占め、特に閉経後には心疾患の予防効果をもたらすエストロゲンの分泌が減少する」と指摘している。その上で「今回の研究は、女性においても高血圧と糖尿病、喫煙習慣という心疾患リスク因子に早急に対処する必要があることを示している」と話している。

Millett氏もこの意見に同意を示し、「今回の結果は、男性だけでなく女性も心筋梗塞リスクに直面していることを改めて認識するきっかけとなるものだ。男女ともガイドラインに従った糖尿病や高血圧の治療を受け、禁煙することが重要だ」と述べている。HealthDay News 2018118日)Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.


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