認知症に関する初の法律「認知症基本法」、成立へ

今月14日、認知症に関する初の法律「認知症基本法」が参議院本会議で可決、成立した。急速な高齢化の進展に伴う認知症の人の増加が背景にあり、認知症の人やその家族が希望を持って暮らし続けられる共生社会の実現を目指す。国と地方自治体は認知症の様々な施策に取り組むことが定められ、国民は認知症の人に関する正しい理解を深めるとともに、認知症の人の自立や社会参加に協力することが責務とされた。また9月21日を「認知症の日」とし、9月1日から30日までを「認知症月間」と定めることとした。

厚労省の推計によると認知症の人は2025年には約700万人、65歳以上の5人に1人に達する見込み。認知症には性差が見られ、発症リスク、症状、予後などが女性と男性で異なることが報告されている。女性は被害妄想を訴える症状が多いのに対し、男性は介護者に対する攻撃や暴力が問題になりやすい。身体合併症については、女性は骨粗鬆症や関節炎といったADL低下に繋がる合併症が多いのに対し、男性は心疾患や脳血管障害など生命を脅かすものが多く、性差を考慮した予防やケアの必要性が求められている(※)。認知症と性差の関連については、医師の熊谷亮氏の記事「『性』の違いを考慮する認知症の医療と介護(ヘルシスト,2020年)」が参考になる。※「認知症と性差(熊谷亮,一宮洋介)」,性差医学・医療の進歩と臨床展開,医歯薬出版,2018

 

 

 

 

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