周辺の騒音レベルが高いと心筋梗塞になりやすい?

騒音レベルの高い環境に長期にわたり曝露され続けると、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが高まる可能性があることが、米マサチューセッツ総合病院のAzar Radfar氏らが実施した研究から示された。幹線道路沿いや空港周辺などの騒音レベルが高い環境は、ストレス反応を引き起こす脳部位の扁桃体を活性化させ、これが動脈の炎症に関与する可能性があることがPET/CT検査による脳の断層写真を分析した研究で明らかになった。研究の詳細は米国心臓協会年次集会(AHA 2018、11月10~12日、米シカゴ)で発表された。

この研究では、健康な成人男女499人(平均年齢56歳)を対象に、脳と全身の動脈のPET/CT画像を撮影した。次に、参加者の住所に基づき、米国運輸省が保有する航空および幹線道路の騒音データに照らし合わせて近隣の騒音レベルを評価した。PET/CT画像と居住地の騒音レベルの関連について解析した結果、騒音レベルが高い環境に住む人は扁桃体の活動レベルが高く、動脈の炎症レベルも高いことが分かった。

さらに、参加者を平均3.7年追跡した結果、騒音レベルが高い環境に長期にわたり曝露され続けた人は、騒音レベルが低かった人に比べて心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントの発症リスクが3倍以上であることが明らかになった。こうした結果は、大気汚染や高コレステロール、喫煙習慣、糖尿病などのリスク因子を考慮しても変わらなかった。

Radfar氏は、騒音と心血管疾患の関連に着目した研究はこれまでもあったが、今回の研究ではこれらが関連する機序の一端が明らかになったとしている。また、この研究は因果関係を裏付けるものではないが、同氏らは「扁桃体が血管の炎症を亢進するホルモンの分泌を促すことによって、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める可能性が考えられる」と推察している。

専門家の一人で米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ティッシュ女性健康センター長のNieca Goldberg氏は「今回の報告に基づけば、騒音は心血管リスク因子の一つだと考えられる。患者の心血管リスクを診断する際には、問診で生活環境の騒音レベルを尋ねることが有効だ」と述べている。一方、Radfar氏は、自宅周辺の騒音レベルが高い場合には防音対策を講じることや、地域レベルでの対策として、道路や都市計画の際には防音壁を設置することを提案している。

なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2018年11月5日)Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.

 

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