認知症のバリアフリー化が企業のビジネスチャンスに、「新しい認知症観」に基づいた初の基本計画

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政府は今月3日、「認知症施策推進基本計画」を閣議決定した。基本計画は、今年1月に施行した認知症基本法に基づく初の策定で、今後の認知症施策の根幹として機能する。基本計画では、誰しもが認知症になりうることを前提に、認知症になってからも住み慣れた地域で希望を持って生きることができるとする「新しい認知症観」を提唱している。

認知症になると何も分からなくなるといったイメージが社会に根強く残ることから、当事者の社会的孤立を防ぎ、当事者の意志が尊重される真の共生社会の実現を目指したもので、以下4つが重点目標として掲げられた。

  • 国民一人一人が「新しい認知症観」を理解している
  • 認知症の人の生活においてその意思等が尊重されている
  • 認知症の人・家族等が他の人々と支え合いながら地域で安心して暮らすことができる
  • 国民が認知症に関する新たな知見や技術を活用できる

具体的な施策としては、以下を推進する。認知症の人の生活におけるバリアフリー化は、企業にとっての新たなビジネスチャンスとなることも啓発事項に盛り込まれ、当事者と企業による製品開発や、従業員の介護離職防止策が経営戦略の一環と認知されるよう、好事例の展開と共に普及・啓発を目指すとしている。

 

  • 認知症の人の生活におけるバリアフリー化の推進
    当事者が自立して安心して暮らせるようにするための各種整備。移動手段の確保、賃貸住宅への入居促進、スマホを活用した情報共有の推進、当事者や家族が利用しやすい製品・サービスの開発促進などを進める。企業が経営戦略の一環として認知症バリアフリー化に取り組むよう、ビジネスチャンスとしての有用性を企業の経営層に向けて普及・啓発していく
  • 認知症の人に関する国民の理解の増進
    学校教育・社会教育における認知症の教育を推進する
  • 認知症の人の社会参加の機会の確保
    当事者の社会参加の機会の確保、若年性認知症の人の就労推進に向けた事業主への啓発・普及を推進する
  • 認知症の人の意思決定の支援と権利利益の保護
    当事者が自らの意思で日常生活・社会生活を営めるよう、当事者や家族への情報提供や、認知症高齢者を標的とした特殊詐欺や消費トラブルに対する措置を講じる
  • 保健医療サービス、福祉サービスの提供体制の整備
    居宅、介護事業所・施設、医療機関において、必要な医療・介護の提供が可能となる体制整備を推進する
  • 相談体制の整備
    認知症の人や家族の個々の状況に配慮しつつ、総合的に対応できるようにするための体制を整備する
  • 研究等の推進
    認知症の予防・診断・治療・リハビリテーション・介護方法の研究の推進・成果の普及を図る
  • 認知症の予防
    認知症予防に関する啓発、知識の普及、地域活動の推進、情報収集や、地域包括支援センター、医療機関、民間団体などの連携協力体制の整備、認知症と軽度の認知機能の障害に関する情報提供を行う

 

 

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