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女性アスリートの鉄欠乏や内分泌異常を改善、エネルギー摂取の最適化で 早稲田大学

早稲田大学スポーツ科学学術院の田口素子教授らの研究グループは、女性アスリートが消費エネルギーに見合ったバランスの良い食事を6週間摂取することで、鉄欠乏や内分泌異常などの健康リスクが改善されることを明らかにした。 研究成果は今年10月、『Women’s Health』に掲載された。

日々の食事で十分なエネルギーを摂取せずに高強度トレーニングを続ける女性アスリートは、貧血や月経異常、内分泌異常、エネルギー代謝の低下、疲労骨折など、エネルギー不足に起因する健康問題を抱えることが多い。こうした問題はこれまで、「女性アスリートの三主徴(継続的な激しい運動トレーニングにより、エネルギー不足・無月経・骨粗しょう症を引き起こす状態のこと)」や「スポーツにおける相対的エネルギー不足」として指摘されてきた。しかし、 適切なエネルギー摂取の有効性を裏付ける研究は限られていた。

研究では、1日のエネルギー消費量に見合う食事が不足している女性アスリート6人を対象に、個々の消費量に応じたバランスの良い食事を6週間にわたり提供。早朝空腹時体重や身体組成などをモニタリングし、健康状態の変化を観察した。食事はスポーツ栄養学に基づいた理想的な栄養素と栄養バランスの献立で、管理栄養士が毎日の食事や補食を管理。なお女性アスリートは、サプリメントや鉄剤などは一切使用しなかった。その結果、鉄欠乏状態やエネルギー代謝の抑制、内分泌異常など、複数の問題を持っている女性アスリートの健康状態が改善されることを確認した。さらに、体重や体脂肪の増加を伴わずに健康リスクを軽減できることも示された。

研究グループは、「女性アスリートにとってエネルギー不足が続くと、貧血や疲労骨折、月経異常といった健康障害を引き起こす可能性がある。こうしたリスクを防ぐためにも、ジュニア期から”動いた分だけしっかり食べる”という基本的な習慣を身につけることがきわめて重要」と指摘。また本研究の知見は、男性アスリートややせ志向の若年女性、次世代の子どもの健康づくりにも応用できるとし、「今後の幅広い展開が期待される」とコメントしている。

 

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