世界初、薬で改善しづらいパニック症に「オンライン認知行動療法」が有効 千葉大学
千葉大学子どものこころの発達教育研究センターの関陽一助教らの研究グループは、薬物療法で十分な改善が見られないパニック症患者に対するオンライン認知行動療法が、通常診療のみを行う場合よりも有効であることを、世界で初めて明らかにした。 研究成果は今年9月、国際医学雑誌「BMC Psychiatry」に掲載された。
パニック症は、強い不安や動悸などのパニック発作を繰り返し、日常生活に深刻な影響を及ぼす精神疾患で、治療法には「薬物療法」と、認知行動療法などの「心理療法」がある。欧米では認知行動療法の研究が進んでいるが、日本では認知行動療法を提供できる専門家が少ないため、これまで主に薬物療法が使われてきた。しかし、薬物療法を継続しても症状が残るケースもあり、エビデンスに基づいた新しい治療法の確立が求められていた。
研究では、薬物療法を継続しても十分な改善が見られない30人のパニック症患者を対象に、通常診療のみを行う対照群と、通常診療とオンライン認知行動療法を受ける介入群に分けて比較。オンライン認知行動療法は、医療機関の公認心理師が週1回50分、全16回にわたり、ビデオ通話を通じて実施した。 その結果、主要評価指標であるパニック症重症度評価尺度では、介入群で平均12.8点から5.4点へと有意な改善が見られた。一方、対照群では明確な変化はなく、オンラインによる認知行動療法の有効性が示された。
研究グループは、「薬物療法で改善しない患者に対する新たな治療選択肢として、オンライン認知行動療法の有効性と、実装可能性を示した点に大きな意義がある。今後は長期的な効果検証とともに、国内の多くの施設での普及に向けた体制整備を進めたい」とコメントしている。
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