シニア女性のトレンドキーワード2026、「イマ活」「再点火メイク」「ご自愛消費」
シニア向けの人気女性誌『ハルメク』のシンクタンク「ハルメク 生き方上手研究所」が、2025年から2026年のシニア女性のトレンドキーワードを発表した。米の高騰やトランプ関税、猛暑やクマ被害など、経済環境も生活環境も変化が著しかった一方で、万博や映画「国宝」、NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」などの文化系エンタメが活況を呈した2025年。高市政権誕生後、日経平均株価の最高値更新が相次ぐなど経済成長への期待も高まるなか、日本の“ボリュームゾーン”であるシニア世代は、どのように過ごし、変化したのか?シニア世代の最新の意識トレンドとは?
イマ活
シニアの間で「豪華クルーズ」「ちょっと上質なランチ」など、自分を喜ばせる体験に人気が集中している。ハルメクのイベントでは、「オペラ鑑賞」「大相撲観戦」など、12万円を超えるプレミアムチケットが即完売。高額でも「元気なうちに、今を楽しもう」と、自分の心を満足させるため、価値ある“コト”に時間とお金を使う動きが広がっている。
ご自愛消費
節約疲れからのリバウンドもあり、「理由があるなら高くても納得して上質なものを買いたい」「頑張った自分をいたわりたい」と、心身のゆとりを取り戻す動きが出ている。経験を積んだ世代は、「自分に似合う」「長く使える」といった基準が明確で、数多くのアイテムを持つより「価値のある一着」を選択する。10万円超のハルメクのカシミヤコートが支持されるのも、素材や縫製など、確かな根拠があるから。また、快眠や健康という価値を実感できるリカバリーウェアや姿勢サポート製品など“自分をいたわる”アイテムのニーズも上昇している。自分のための納得できる消費は、今後も続いていくと予想される。
戦力シニア
「おてつたび(リゾートワーク)」「タイミー(スポットワーク)」など、仕事が暮らしや趣味の一部として溶け込み、場所や時間に縛られない自由な働き方が拡大している。50代以上が旅行や地域活動を通じて働く姿は、従来の「再雇用」や「副業」と異なり、仕事そのものが余生の生き方の一部に。経験豊かな世代が「もう一度自分の好奇心で働く」「今だからこそ、やってみたい」と好きで始めたことが、いつの間にか周囲に影響を与え、気づけば“戦力”として頼られる存在になっている。
再点火メイク
「今を生きる私に似合う」を美容に求める動きが拡大している。自分の魅力を更新するため、時間を費やす潮流に合わせたシニア向けの美容教室の出現、50代以上の美容系YouTuberの増加、高市早苗首相のメイクが変わったことが話題になるなど、大人世代のロールモデルも登場。時代に合わせ、「自分の個性を引き出す武器」としてメイクを捉える動きは、これからも広がっていくと予想される。
ならわし卒業
若者文化の「キャンセル界隈」が社会規範への拒否や苦労することへの放棄だとすれば、シニアのキャンセルは、自分を取り戻すための手放し。生きかた上手研究所の調査では、「年賀状じまい」「墓じまい」「お中元・歳暮じまい」が進んでいることが明らかになっている。「●●じまい」により、過去の形式に縛られず、自分らしい関係性や生きかたを再構築する行為が広がっている。
トレンドキーワードの発表にあたり同所所長の梅津順江氏は、「『自分のために時間もお金も使いたい』『元気なうちに、今やりたいことをしたい』という前向きな姿勢が強まっている」とコメント。常識や制約を外して新しいことへ挑戦する“エイジズムからの解放”という長期トレンドに加え、今年は節約疲れ・効率疲れが重なったことが背景にあると見ている。「時間もお金も自分のために使うシニアの存在は、今後の日本の経済と文化を力強く動かしていく」と総括している。
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