女性が「2024年に買って良かったモノ」と「2025年に買いたいモノ」(女性10クラスター別)
本稿は、女性インサイト総研の(株)ハー・ストーリィ(東京・港)による寄稿記事です。女性視点マーケティングで30年以上にわたり企業の商品開発やマーケティングを支援する同社の豊富な知見と女性調査をもとに、2024年の消費トレンドを総括しながら、2025年の消費トレンドを予測します。
目次
消費トレンドの分析に向け調査を実施
2024年に新たに購入した商品、あるいは利用したサービスのうち、買って良かったと思えたものを自由記述で答えてもらう調査を行い傾向を分析したところ、家電の省力化や健康志向、持ち物よりも体験を重視する姿勢など、 時代を反映した新しい消費トレンドが見えてきた。 これからの企業に求められるのは、こうした消費者の新たな価値観に応え、生活の質を 向上させる商品・サービスの提供だ(10代~70代の女性503人にインターネット調査を2024年10月に実施)。
2024年の買って良かった「モノ」、4つの傾向
今回の調査結果と、当社が毎月調査している女性市場のトレンド商品キーワード(※)から見えた、2024年の購入商品の傾向を大きく以下の4つの キーワードにまとめた。※ハー・ストーリィの提供する会報誌 HERSTORY REVIEWで毎月発表している女性10クラスター別のヒット商品とそのキーワード
【1】タイパ家電の一般化
これまでアーリーアダプターや若年層に限定されていたロボット掃除機など、タイムパフォーマンスの良い家電「タイパ家電」。数年前から続くタイパブームにより、今回の調査では、広い世代で浸透し始めていることがわかった。
<具体例>
▼スマートライフのアイテム▼
ロボット掃除機、ダイソンのコードレス掃除機、ヘルシオの自動調理機能付きオープンレンジ、見守りカメラなど
【2】コンディショニング生活品
日常的なアイテムにプラスアルファの機能や高機能を備え、普通の生活を送りながら自然にコンディションを整えられる商品も多く選ばれていた。
<具体例>
▼寝ている間にリカバリ▼
育脳まくら、リカバリーウェア など
▼日常に取り入れる▼
ブルーライトカットメガネ、オーツミルク、ユースキンのリップクリーム、 NILE ダメージケア シャンプー&トリートメント 、パナソニックの骨盤リフ レ、黒酵母βグルカンが入っている健康食品 など
【3】手間のエンタメ化
物質的な豊かさだけでなく、心の豊かさを求める傾向が強まり、体験型の消費が活発化。旅行、趣味、学び など、様々な体験を通じて自分自身を豊かにしたいというニーズが強まっていることもわかった。
<具体例>
▼こだわる▼
コーヒーミルとドリップセット、南部鉄器の鉄瓶 、無印良品せいろ など
▼リアルを楽しむ▼
UFOキャッチャー、旅先で染め物体験、ハンドメイドアクセサリー、折りたたみ将棋盤 など
▼ホテルステイやグルメ体験▼
星野リゾート八ヶ岳、能登コテージ など
【4】所有しない購入
「所有しない購入」とは、モノを所有することよりも、必要な時に必要なだけ利用することに重きを置く消費スタイル 。デジタル技術の進展に伴い、オンラインショッピング、サブスクリプションサービスなど、デジタルを活用したサービスが人気を集めた。
<具体例>
▼サブスクサービス▼
Netflix、Amazon Prime、Disney+、airCloset、コミックシーモア など
▼アプリで学習▼
Duolingo、スタディサプリ など
10のクラスター別、消費キーワードと購入商品
ハー・ストーリィでは、女性たちをライフコース(職業・家族構成を加味した人生コース)とライフステージ(年齢・年代という人生の立ち位置)の交点から10のクラスターに分類しており、毎月実施しているトレンド調査では、その10のクラスター別に分析を行っている。まずは、以下図で10クラスターの確認をしてほしい。
上記の各クラスター別に2024年の消費傾向とキーワードをまとめたのが、以下図。なおクラスターごとに消費傾向は異なるが、「家事の効率化と時短家電の活用」と「健康と美容への関心」については、全クラスターに共通して見られた。
「2025年に買いたいモノ」から見える、4つのヒント
今回実施した調査では、2025年に買いたいモノについても聞いており、このような新たな価値観に適応するため、企業は消費者のニーズに敏感に対応し、柔軟で持続可能な商品・サービスの提供を目指す姿勢が求められている。 消費者の価値観の変化を的確に捉え、これに応じた新たな提案を行うことで、長期的な顧客関係を構築できるだろう。以下に2025年のマーケティング施策における4つのヒントを解説する。ぜひ取り組んでみてほしい。
【1】代行家電
ロボット掃除機など、自分の代わりに家事や作業をしてくれる家電への需要が増加している。清掃や料理の補助など、日常的な負担を軽減してくれる商品は、忙しい現代人にとって魅力的な選択肢となっている。
【2】トータルウェルネス商品
健康への意識が高まる中、外見だけでなく内面からの健康をサポートする商品が人気。食品、サプリメント、フィットネス機器など、総合的に健康を維持・向上させるアイテムが求められている。
【3】リアルエンタメ体験
コロナが終息し、オンラインだけでなく、実際の体験を重視する傾向が強まっている。旅行、イベント、ワークショップなど、リアルな場で得られる楽しさや学びを求めるニーズが高まっており、心の豊かさを追求する姿勢が見られる。
【4】サブスクのバラエティ化
動画や音楽、お菓子などにとどまらず、多岐にわたる分野でサブスクリプションサービスを希望する声が増えている。自分の興味やライフスタイルに合ったサービスを手軽に利用できるサブスクは、より多様な生活スタイルに応える選択肢として注目されている。
【提供】 株式会社ハー・ストーリィ
女性インサイトマーケティング業歴・実績共にNO.1の専門会社、女性インサイト総研の株式会社ハー・ストーリィです。日本の女性5,515万人を対象にオリジナル開発した10クラスター・29ペルソナで女性インサイトを定点的に追い続けています。最新の統計データと独自の定量調査、定性調査、トレンド分析、SNS分析に基づき、生活者の潜在ニーズ(インサイト)を的確に捉え、企業のビジネス機会に繋げることで、社会課題解決と企業発展の両立を目指しています。女性インサイト研究クラブ in hersotory 会報誌 HERSTORY REVIEW 2024年12月号「ヒット商品の誕生に「本音」アリ インサイトマーケティング」
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